ブラッドとオスカーが入籍して一週間。両親や仲の良い友人に報告を済ませてようやくひと息ついた頃だった。
パトロールに出ると声を掛けられることが増えたような気がする、とオスカーは首をかしげた。今までは体格と表情から怖いと思われることが多く、人気者のブラッドどころかメンティーふたりよりも声を掛けられる回数が少なかったのだ。
「あの、オスカーさんですよね?」
振り向くと、穏やかに笑う女性が立っていた。女性だと身長差が広がる場合が多いので余計に怖がられることがほとんどだったのだが。
「はい。何かありましたか?」
「えっと……ほら、自分でお願いしなさい」
女性が背を押したのはさらに小さな──屈んでも目線が合わないような女の子だった。それでもオスカーは膝をついて、できるだけ威圧感を与えないように少女の顔を覗きこんだ。
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