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    hamham895

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    hamham895

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    さこだ
    やおい短文

    けろいどみるく 子供の頃腕に皮膚炎ができた。痒くてたまらないし、掻くと皮がむけて膿だかリンパ液だかが滲んだ。乾くとパリパリになってまた痒くて引っ掻いて、また体液でベタベタになった。大して効果のない軟膏を塗って、搔かないように包帯を巻いた。白い包帯にべっとり付いたリンパ液が黄色く固まって、独特の匂いがした。
    体が成長するにつれて皮膚炎は自然と治っていった。痕も殆ど残っていないし、あの包帯の独特の匂いも記憶から消えていった。

     荼毘との距離が妙に近付いた時、ふと懐かしさを覚えた。つぎはぎの境目に新しい血痕。ケロイドの肌。いつだってどこかしら傷だらけの体。記憶の奥底にしまってあった、匂いの記憶。
    「……おい、やめろヘンタイ。嗅ぐな」
    耳の3cm隣にある小さな口から不満げな声が漏れる。俺は今荼毘の首元に顔を埋めて鼻から深く息を吸っていた。
    「いやあ、なんか落ち着くんだよね」
    「意味わかんねえよ。人肉でバーベキューでもしたか」
    軽口を叩いてくれることが嬉しい。それだけ気を許してくれているのだと思う。寧ろそうでなければ、ソファに座る荼毘の膝の上に座って首元の匂いを嗅ぐなんて所業は、間違いなく焼殺に値するだろう。
    一回り近く歳下の青年に甘えるなんて紳士が廃れるが、ここ最近の唯一の癒しだった。
    「で?やんねえなら俺は寝る」
    「やる」
    「んじゃさっさとしろ」
    荼毘は俺を膝に座らせたまま体勢を崩してソファの肘掛けにもたれかかった。
    俺の好きな荼毘の匂いがもっと濃くなる、この時間が好きだった。
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    hamham895

    PAST初めて文章を書いてみた時のやつです。途中ですが完成しますと胸を張って言えないほど見切り発車ですので、一旦記念としてうpします。「大体こんな雰囲気の作風」というサンプルのつもりで。
    くまみてえな。「消太、聞いて欲しいことがあるんだ。」
     そう切り出された瞬間から何の話かは察しがついた。いつかこの時が来ると思っていた。それは避けられないことだと覚悟していた。予想外だったのは彼の婚約者が女性だったということだ。ゲイだと言っていたのに。いや、決め付けてはいけない。たまたま今まで愛したのが男だったというだけだろう。ついに心から愛せる女性と巡り会えたのだ。俺は元恋人として、友人として、彼を祝福するべきであろう。俺は物分かりが良い方だと自負している。
     別れはとてもあっさりとしていた。同棲していたわけでも、私物を相手の家に置いていたわけでもない。ただ恋人という関係を解消しただけだ。それ以外は、何もかも今まで通りだった。ただでさえこちらはヒーローであり教職にまで就いてからというもの仕事でがんじがらめの毎日であった。あちらさんも有名企業の上役。背が高くて動物に例えるならクマである。それでいて清潔感があり、スーツの似合う好青年であった。こちらの方が髭も髪もボサボサと伸ばし放題でよほどむさ苦しい。女のつるつるとした滑肌が恋しくなったのかもしれない。君の髭がセクシーだと囁いていやがったくせに、随分といい加減な男だ。
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