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    帽子屋(とある星の語り部)

    うちよそは、穏やか雰囲気で。
    うちの空は、ほんのりビターな雰囲気で。

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    POIPOI 26

    序章

    はじまり星の子の使命は、先祖たる精霊の記憶の開放。
    そして、光の子となって地上に残る彼らを天へ帰すこと。

    【孤島】【草原】【雨林】【峡谷】
    【捨て地】【書庫】【暴風域】

    星の子は最初に天から生まれ降りる時、ホームに存在する7つのエリアの門の、どこかを経由し大精霊の祝福を受け目を覚ます。
    無意識の中、星の子として成すべき使命が天の声として意識に呼びかけ手足を動かし、始まりの大地『孤島』へと導かれ使命が始まる。

    原初の子は、全てが未熟だった。
    身体は脆く、地面にぶつかれば光が溢れるほど。また、他の星の子と十分な意思の疎通もままならず、ただ長い間、使命を淡々と『あるがままの、当たり前』と幾度となく繰り返す日々。
    無機物の様に、変化のない日常。感情のない人形のような存在。

    しかし、精霊の記憶に触れ大精霊と接触する内に、ある時星の子に変化が訪れた。
    精霊の記憶から、知恵(エモート)を得て、自我が目覚めたのだ。それは、徐々に全ての星の子に伝染した。

    ある星は、コミュニティを作りルールを築いた。
    ある星は、愛する心に気付き家族を築いた。
    ある星は、欲望を知り望むままの行動をした。

    そうして、少しずつ使命の意味を忘れ、まるでかつての先祖たる精霊達のように文明を築き生活するようになった。そうして時折り気紛れに使命を果たし、大精霊の神殿からも離れて幾千の年月が流れた。

    ある時、彼らは気付く。

    昨日まで隣にいた星が居ない。
    長く転生しなかった為に体にガタが来た星が、久しぶりに原罪に向かい戻って来ない。
    なにより長い間、新しい星が生まれていない。

    事実に星の子は慌て混乱し、
    急ぎ大精霊の元へ救いを、導きを求めて集った。

    孤島の大精霊は言う。
    『星は落ち 空は陰り始めた
    遠く呼びかけた声は届かず 出航の刻は遠い

    "希望は失われた”
    ”子どもたちよ 我々は汝らの帰還を待った"
    しかし空は再び閉ざされた

    『使命を忘れた星に導きの鐘は必要ない』』

    草原の大精霊は言う。
    『ここは収穫の畑 喜びの大草原

    我らは光の蝶を育む 
    来たる暗闇の日のために
    "我らは使命を果たす星の子どもたちを守るのだ!"
    光の蝶の儚く小さな けれど力強い黄金の羽ばたきは驚きに満ちた日々 その空気を忘れない

    『生まれた意味を忘れた星に守りは必要ない』』

    雨林の大精霊は言う。
    『私の涙は止まらない 私の心は届かない
    いつか雨が止み 新しい朝日が訪れると
    失くした光の破片を 待ち続けた
    二度と離れ離れにならないよう 願いを込めて
    “おかえりなさい 使命を忘れた子どもたち
    なぜ戻ってきたのです 偽りの空の救い手よ”
    愛と慈悲を深くその胸に沈め 涙を流す

    『使命を忘れた星に慈悲の光は必要ない』』

    峡谷の大精霊は言う。
    『地奔り空駆ける者に勝利の凱歌を
    誇りを胸に道を拓き 峡谷大精霊の高名の下に
    奮い立ち、名誉を掴むはずだった星々よ

    「誰が最強だって?

    その愚かな無謀さ、試す価値も地に落ちた
    おめおめと引き下がった星々が!!」

    『誇りを忘れた星に栄光の輝きは必要ない』』

    捨て地の大精霊は言う。
    『寒々しい海を ひた走り
    光のもとへ 暖かな風が届くことを願った

    導くはずだった 揺るぎない愛の祝福で
    授けるはずだった 望むだけの勇気を

    『使命を捨てた星に祝福は必要ない』』

    書庫の大精霊は言う。
    『我らは全てを覚えている
    ここは 全てを記憶する場所
    栄枯衰退は 繰り返すもの
    しかし忘れられた記憶は どうなるのでしょう

    『我らを忘れた星を記憶する必要はない』』

    使命を忘れた星など、星の子にあらず


    嘆き絶望し赦しを願う星の声が響く中、数少ない使命を果たしていた星の子にのみ大精霊は最初の加護を与えた。

    転生した時に与えられる一枚の羽。
    使命を果たし再び大地に降り立ち、命の炎が消えるその日まで使命に殉ずる星に与えられる、その星だけの1つの羽(命)。

    大精霊は言う。
    『生まれた意味を忘れるな 
    光を天に届けなさい 使命を忘れないならば
    唯一の 光を授けよう

    慈悲を望むなら 
    数多の精霊からは 深い感情や色彩を
    大精霊からは 守りの加護と祝福を

    誇りを胸に 羽ばたきを止めず 
    光を天に届けなさい
    それこそが 星の子の(生まれた意味)

    救いを求めるならば
    今一度 全てに機会を 与えましょう』


    許された星々は使命を受け入れ慈悲に感謝する。大精霊や精霊の慈悲を身に纏い再び空に羽ばたいた。

    (初期代の星の子の罪 第一章より抜粋)



    しかし築いた文明や芽生えた感情は、そのままに残っている。
    許された星は、
    次代を育てる為に文明を残した。

    許された星は、
    使命を忘れない為に感情を残した。

    許された星は、
    芽生えた感情の意味を忘れない為にルールを残した。

    許しを願わなかった星は、
    静かに姿を消した。

    『赦しの本当の意味』に蓋をして、芽生えた感情に蓋をして星の子は今この刻も空を駆ける。

    大精霊や精霊への信仰心こそが、我らに許された自由の証である。
    しかし!

    ワタシタチ ホシノコ コソガ 
    ホンライ セイレイノ スクイテ
    ワレワレノ シンコウシン トハ……
    (これ以降のページは、破られて紛失している)

    ーーーーー禁書『精霊信仰のはじまり』


    この書は、書庫の禁書エリアの奥深くに保管されている。現在、閲覧は無期限不可となっている。


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