与えられた熱の名前 その日イルマが学校から帰ると邸内がいい匂いでいっぱいになっていた。
「おかえりなさい、イルマ様」
「ただいま、オペラさん。すっごくいい匂いがします!」
「今日はバレンタインデーですので、チョコレートのお菓子をたくさんご用意しました。着替えていらしてください」
「はあい」
いつもはおやつは二袋までと言うオペラが「たくさん」と言った。きっとたーくさん! なのだろう。イルマはウキウキしながら着替えて食堂へ向かう。
「わ! わわ!!」
本当に、たーーーくさん!! だった。
長く広いテーブルの上にチョコレートのお菓子ぎっしりと並んでいる。
「すごい、これ、全部食べていいんですか」
「張り切って作り過ぎてしまいました。サリバン様の分もありますので、半分は残してください」
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