続きは週末「今週の週末だけど」
緊張したような面持ちで壮五が口を開いた。
「うん」
「これを、使い切りたくて」
す、と差し出してきたのは未開封の箱だった。壮五と「そういうこと」までする関係とはいえ、夜の営みを感じさせるものをあからさまに出されると慌ててしまい思わず周囲に誰もいないかを確認した。ちなみにここは壮五の部屋で、部屋に入るなり環は壮五の部屋に鍵をかけていたことももちろん覚えていたはずなのに。
壮五の部屋に入る時鍵をかけるようになったのは、壮五といい雰囲気になった環が壮五をベッドに押し倒した瞬間、酔っ払った大和や三月が壮五の部屋に突撃してきたからである。
何もしていなかったとはいえ、その様子を見た二人は酔いが覚めたのか「あー……そういうのは鍵をかけてからしなさいね」などと言いながら出て行ったのである。
それからというもの、仕事ではない時に部屋を訪れるときは鍵をかけるようにしている。
「えっ、と、」
「今週の週末、誰もいないって聞いたし、その……最近君とそういうこと、できてなかったから」
「……っ」
近頃環も壮五も個人で連続ドラマの主演に抜擢された関係で顔を合わせることはあるものの、恋人としてゆっくりと過ごすことは難しかった。
ようやく互いに撮影も終わりに近づき、時間も取れるようになったから壮五のいうこともわからなくはない。環だって年頃の青年で、恋人が手の届くところにいるのに手を出せないことに対して思うことがないわけではない。
「だから、これを全部使い切るくらいまで君にめちゃくちゃにされたい」
環を見上げる壮五の顔はベッドで環にだけ見せる顔で思わず唾を飲み込んだ。
「ううん、使い切って、それ以上にし……んぐっ」
「そーちゃんのばか! 今それ言うなって!」
「んぐぐ……」
壮五の言葉に煽られて今すぐにでも、と考えてしまうではないか。
「覚悟してろよ」
「楽しみにしてるよ」
顔を真っ赤にしながら言う環に対して壮五は嬉しそうに微笑むのだった。