花の雨花の雨
「わぷ、」
「あ、ごめん」
何してんだこいつ。
目を開ければ、花びらが数枚ヒラヒラと顔面向けて舞いながら降って来た。
口に落ちてきた花びらを指で拾い上げる。
こちとら先に寝てたんだっての、頭上で何のつもりなんだ本当に。
「丹さん、お花が似合うからこの前買っといた、フラワーシャワー、ほら!綺麗でしょ」
「綺麗だけど〜、俺が寝てる時にすんなし」
「寝顔が綺麗だったんだもん」
「だもんじゃねえよ、寝床花びらだらけじゃん」
「だって、そうしたいからしたんだよ、わざとよ」
「こんなのいつの間に買ってたんだよ」
「この前通販で」
「気づかねー筈だわ」
起きあがろうとすればガミが肩に手を置いて押し戻すから枕に再度頭が沈む。
そのまま覆い被さるようにして見下ろして来るから頭の上に疑問符を浮かべながら見上げた。
2019