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    mitulove_uno

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    mitulove_uno

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    ソファと棺桶6の展示用小説でした。
    アイドルパロのロナドラです。

    恋するアイドルはファン公認! ロナルドとドラルクはオータム事務所に所属するアイドルだ。
    始めはコンビではなく、ロナルド一人で活動していた。自分の事を『ロナルド様』と言う、キザでカッコイイキャラでやっていたが、今では『ロナルド様』はライブの時にのみ現れるレアキャラになってしまった。
    そもそも『ロナルド様』はロナルドの兄、ヒヨシに憧れて始めたキャラだった。ヒヨシは今は俳優だが元アイドルで、子どもから大人まで、主に女性から人気のある芸能人だ。
    ロナルドは小さい頃にアイドルをやっていたヒヨシのライブに行った事がある。そこにはロナルドが知っている兄の姿ではなく、アイドルのヒヨシがいた。
    生命力に溢れた瞳はキラキラと輝き、普段の優しい声とは違い、低くて張りのある声が会場を震わせた。軽やかなダンスから激しいダンスへ次々と変わる動きにファンは魅力されていた。
    周りを見るとみんな笑顔でヒヨシを見ていた。ファンの心に深く残るような夢の一時。
    ロナルドはその時、自分もアイドルになって兄のように人々を笑顔にしたいと思ったのだ。
    「見て見てロナルド君!これジョンと一緒に作ったんだぞ!」
    「ヌヌ~♡」
    それが何故こうなったのだろうか。キャッキャとはしゃいでいる吸血鬼は、ロナルドの相棒のドラルクだ。そしてアルマジロはドラルクの使い魔のジョンだ。
    ジョンは可愛い。当然可愛い。しかし、ロナルドは最近、ドラルクの事も可愛いと思うようになってしまった。
    気付いたら何故か同居をする事になり、気付いたら何故かドラルクの事が好きになっていた。
    ロナルドの好みはおっぱいが大きいお姉さんだった筈で、ガリガリのオッサンなんて真逆な存在だ。いや、確かにえっちなお姉さん味はあるので全てが違うとは言えないが。
    ガリガリなオッサンにえっちなお姉さん味を感じている時点で既に手遅れだ。
    いつも隣で楽しそうに笑い、作る料理はとても美味しい。掃除に洗濯、裁縫までも軽々とやってのける。ロナルドに無いものを沢山持っていて、ロナルドの『ロナルド様』を壊してしまった。ドラルクの前ではロナルドは『ロナルド』でいられる。
    「なんだよ?」
    「フフン、見ろこれを!」
    「ヌヌ~!」
    「なっ!?」
    バッとロナルドの目の前に出されたのはうちわだった。それもロナルドがライブ中によく見るうちわだ。ドラルクとジョンが持っているうちわには『ロナルド君バァーンして♡』の文字が貼ってあった。
    ライブでこの文字を見ると、そのうちわを持っているファンに、ロナルドは書かれた希望にそえるようなファンサを行っている。
    『バァーン』とは指を銃の形にしてファンにバァンと撃つ真似をする事を指している。まだソロだった頃のMVで銃を扱った事があり、ありがたいことにとても気に入ってもらえたのだ。それ以降定番のファンサになっている。
    「なーんでお前にファンサしないといけないんだよ」
    「ジョンが欲しがっているのにか?」
    「ヌー」
    「ジョ、ジョン!ごめんね~!ジョンが俺のファンサ欲しかったの?嬉しい!」
    「ちょろルド君はやくファンサしてくれたまえ」
    ロナルドは腕を手にあて、偉そうにするドラルクに向かって拳を振り抜く。
    「わかった、よっ!」
    「ぶえっ!」
    衝撃で砂になったドラルクは気にせずにロナルドは呼吸を整えた。自宅というプライベートな空間で『ロナルド様』になり、ファンサをするというのは初めてだ。普段のロナルドをよく知っているジョンやドラルク相手にやるのは恥ずかしい気持ちもある。
    しかし、ロナルドもプロである。スイッチを押すように気持ちをカチリと切り替えた。
    「愛してるぜっ」
    台詞と共に指を銃の形にし、可愛いマジロへと放つ。その瞬間ドラルクが盛大に笑った。
    「ヒョホホホ!ちっがいます~!」
    「あ?なんだよ!笑ってんじゃねぇ!」
    「ヌヌヌヌー!」
    「え?なに?違うの?」
    欲しいというからやったのに、笑われた恥ずかしさから再びドラルクを殺そうと拳を握るが、ジョンに違うと言われて動揺する。何か間違った事をしただろうかとロナルドは不安になった。
    「よく見ろ若造。誰が『ロナルド様』からファンサが欲しいなんて言った」
    「何言って…。『ロナルド君』…?」
    ドラルクが指し示すうちわをよく見ると、そこには『ロナルド様』ではなく、『ロナルド君』とあった。
    「我々は『ロナルド君』からファンサが欲しいのだよ。ね、ジョン」
    「ヌヌヌヌヌン!ヌ~!」
    「あ、えっと、ふぐっ」
    ニコニコと笑い合う主従の目は期待に満ちている。ロナルドが戸惑った。『ロナルド』としてファンサをするという事は、好きな相手に自分自身で告白するということだ。『ロナルド様』としてなら、好きだの愛してるだの簡単に言えるのに、『ロナルド』では途端に難しくなってしまう。
    「さあ、はやく!」
    「ヌヌヌ~!」
    ドラルクが面白がっている事は分かっているが、ジョンの手前ファンサをしないという選択肢は無い。先程とは違った緊張から震える手で、指を銃の形にする。
    ファンサをして欲しいのはジョンだけど。『ロナルド』としてならドラルクにも伝えたい。ロナルドは指の照準をドラルクとジョンの間に、ゆっくりと合わせた。
    「だっ、だ、だいすき、デス」
    ばぁんと小さく撃つと先程同様ドラルクの笑い声が弾けた。
    「ダッハッハッハ!声ちっちゃ!何時ものゴリラはどこ行った!」
    「う、うるせぇー!!いらないなら返しやがれっ!」
    「ブベッ!混ぜるな!」
    恥ずかしさの限界でドラルクの砂をかき混ぜる。
    「うぅー」
    「フフフ、ロナルド君、ロナルド君」
    ドラルクがズズッと砂から腕と手だけを先に復活させ、涙目になっているロナルドの頬にペタリと触れた。
    「なっ、なんだよぉ」
    「嬉しいんだよ。『ロナルド様』の時はジョンだけにファンサしただろ。でも、『ロナルド君』の時は私にもしてくれた」
    「アピャッ、き、きづいて」
    「ドラドラちゃんの観察眼は完璧なんでね!」
    「ヌヌヌ~♡」
    いつの間にかジョンが紫と赤のペンライトを振っていた。
    赤のペンライトに負けない程、頬が赤くなっているのではないかと思うくらい顔が火照っている。
    「ねぇ、特別なファンサ、もっとくれる…?」
    「ひゃっ、ひゃい…」
    耳元で優しく囁かれて、ロナルドはあかべこのように首を縦に振ることしかできなかった。

    後日、ドラルクとジョンが手作りしたうちわの写真をロナルドが『俺からのファンサが欲しいらしい』とSNSにあげた所『おめでとう』『今夜はお楽しみでしたね』『惚気がエグい』と大量のコメントと共に『プロポーズ』と『結婚』がトレンド入りした。
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