0219 08:01 インターホンが鳴った気がした。けれど、目覚めたばかりのまだぼんやりとした頭ではそれが夢なのか現実なのかわからず、考える前にまた瞼が重くなっていく。こんな早朝から届く荷物もないはずだ。無視して問題ないだろう。布団の中に潜り直して、心地いい暖かさを感じながらうとうとしていると、二度、三度としつこく呼び出し音が鳴る。一体こんな朝早くから誰が来るというのだろうか。渋々布団から出ると、刺すような寒さで身体が震えた。
寝室からリビングへと出てモニターを確認すると、そこにはずいぶんと見慣れた顔が映っていた。
「なんか用事?」
「用事というわけではないのですが……少し入れてもらえませんか」
画面の向こうの寂雷の鼻が、寒さでうっすらと赤くなっているのがわかる。連絡もなく早朝から訪ねてくる男に対して、このまま追い返すのはかわいそうかも、なんて思うのは、起きたばかりでまだ頭が働かないからかもしれない。
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