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    imori_JB

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    imori_JB

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    まっっっっっったく懐かれない☔とギャンブラーズと娘。
    ☔はもとより他のギャンブラーにもあんまり懐いてほしくない(教育に悪いから)🦁♀は複雑。

    #JB腐
    #さめしし
    #女体化
    feminization

    雌獅子は愛を抱く⑥ ゆらゆらと左右に身体が揺らしながら、ピンク色の小さな唇をへの字に曲げた幼子は真剣な表情で一歩、二歩と足を進める。
     まだ覚束無い足取りを周囲の大人達、特に幼子の世話も業務の一環として任されている園田は真剣に見守っていた。
     何せ雇用主の大切な大切な宝物である一人娘だ。万が一にも転倒して怪我をさせるような事があってはいけない。
     ソファーの縁に掴まりながら歩く幼子は、ゆっくりとそのままスライドしていく。途中にはソファーに座る招かれざる客人達の足があるのだが、進撃する幼子は止まらないので園田は内心冷や汗を掻く。
     モミジのような小さな手がくしゃり、とカソックの膝辺りを掴むのを慈悲深い微笑みを湛えて見つめる客人その①の天堂は、顔を上げた幼子に微笑んだ。片手を離した幼子は――園田の心配ポイントが増えた――、天堂に向かって指を突きつけて叫ぶ。
    「てんてん!」
     途端客人②③がブフォッと噴き出し、てんてんだって、ユミピコてんてんって呼ばれてんの、とざわつくが天堂は無視して幼子のまるい後頭部を優しく撫でる。
    「ああ、もう神の名を覚えたのだな。実に賢い、善き子よ」
     天堂の教会には代々続く信徒も多く通う。
     二世代三世代で信仰を持つ彼等は、生まれたばかりの幼い子供達にも神のご加護がありますようにと教会に連れて来る事も多い。
     その子供達に幼児洗礼を施す事も多々ある天堂は、もとより子供の扱いは得意だ。罪無き無垢な幼子と触れ合うのは、普段罪人共を裁く事に忙しい天堂に取って心安らぐ一時でもある。
     例え眼帯を思い切り引っ張られ、ベチン! とやられたとしても、ほんの少したりとも腹が立つ事も無い。勿論同じ事を真経津や叶にやられたらそれはリアルファイトのゴングが鳴らされたと同義である。
     最初の内こそ天堂の――天堂に限った事では無いが――顔を見ては泣き喚いて母を求めた幼子も、三度四度と訪問を重ねる内に慣れたのだろう。今では抱き上げても嫌がらない程になっている。――母である獅子神は微妙な表情をしていたが。
     音が気に入っているのかてんてん、てんてん、と繰り返す度にソファーの隅の湿度が高まり禍々しい気配が強くなっていくのだが、天堂を始めとして客人達はそれを華麗にスルーした。一々取り合っては埒が明かない。
     天堂の隣には叶がいる。高身長に見合うすらりと長い脚は膝の位置が高く、小さな手は届かない。故に、再びスライド移動を再開した幼子は叶の脛の辺りを掴んで乗り越えようとするが、叶のスリッパの甲に乗り上げてぐらりとバランスを崩した。
    「!」
     正面から見守る園田と、それからソファーの端の方で腰を浮かせる気配がするも、幼子がバランスを崩す事など当然お見通しだった叶が小さな背中を支えてやる。
    「おいおい、気をつけなー」
    「あっこ!」
    「はいはい」
     目を輝かせた幼子が叶に向かって両手を伸ばした。脇から手を入れ軽々と持ち上げた叶は、そのまま要望通りに立ち上がり天井に向かって幼子を持ち上げる。
     きゃあきゃあと高いはしゃぎ声が上がる事に、益々ソファーの端から海苔の佃煮のように黒く禍々しいオーラが立つが、やはりその場の大人達は無視を決め込んだ。
    「高いたかーい」
    「きゃあー!!」
    「全然怖がらないね。叶さんの身長だと相当高い筈なのに」
     二メートル近い高身長に長い腕、その高さは三メートル近くに達する。はしゃいで顔を赤くして喜んだ幼子は、数度の繰り返しの後に下されると床の上で座り込んだ。
    「お嬢、お茶飲みましょう」
     園田がすかさず両側に青い持ち手が付いたコップを差し出した。ライオンを始めとした生き物がファンシーなタッチで描かれたそれを受け取り、器用にくぴくぴと飲み始める。
    「喉乾いてたのかな」
     無心に喉を潤す幼子の小さな後頭部を真経津がそっと撫でた。反応した幼子が顔を上げ、真経津に向かってコップを差し出す。
    「? ボクにくれるの?」
     珍しくも困ったように微笑んだ真経津は受け取って、そのまま手にする。
     幼子のどうぞやあげるは必ずしも大人の考えるそれらとは同じではない。
     以前幼児用菓子を渡され、そのまま物は試しと口にしたところ火が付いたように泣き喚かれた――母である獅子神曰く、そのあげるは見せてあげるであって差し上げるでは無いらしい、とんだトラップだ――経験がある真経津は、幼子が自分のお気に入りコップを取られたと思われないよう目につく場所でコップを握る。
     身軽になった幼子は辺りを見回し、一点を見つめてぴたりと凍り付く。
     彼女の視線の先、ソファーの隅に座っていた村雨は当人にとって出来る限りの柔らかい笑みを浮かべた。――が、その笑みは擬音を表すなら「ニタリ」という類の物だったので――。
    「うぅ……うえぇぇ……まぁー!!」
     怯えた幼子はぼろぼろと大粒の涙を零し、サイレンのような泣き声で母に助けを求めたのだった。

     *

     リビングから響いてくる娘の泣き声に、獅子神はキッチンの流し台で皿を洗う手を止めた。
     小さく溜息を吐き、手を拭いて騒ぎの中心へと向かう。
    「どうした」
     園田に問えば、子の目の前でぬいぐるみを振って機嫌を取ろうとしていた園田が弾かれたように振り向いた。
    「す、すいません獅子神さん、お嬢がご機嫌斜めで……」
     顔を真っ赤にして泣きじゃくり、必死に母へと手を伸ばす娘を獅子神はひょいと抱き抱える。すると安心したか、泣き声は露骨にトーンダウンした。
     ちらりと視線を投げたソファーの端ではそこだけ重力が倍なのか? と思わせる程空気が重い。娘の急な機嫌の悪化の戦犯はそこでしょげている――表情は変わらないが――男で確定だ。
    「そろそろ昼寝の時間だし、眠くてぐずってるのもあるんだろ」
     抱えた娘の背を軽くポンポンと叩くと、案の定うとうとし始める。
    「ん。よしよし、いい子だ。寝かし付けて来るわ」
    「了解です」
    「お前らはそれ食ったらとっとと帰れよ」
     園田に向かって告げ、それから未だ机の上にゴチャゴチャと持ち込みの菓子やら何やらを広げている真経津以下ギャンブラー達に追い払いたい気持ちを込めて言うと、はぁい、と返事ばかりは聞き分け良く返って来た。
     どうだかな、と内心諦めつつ踵を返してリビングを後にした。
     ――背中に向けられる紅い視線が、何時までも何時までも追って来る事を感じながら。
     
     
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    takamura_lmw

    DONE桜流しのさめしし、もしくはししさめ。ハッピーエンドです。ほんとなんです。メリバでもないキラッキラのハピエンなんです。信じてください。

    これがずっと出力できなくてここ一ヶ月他のものをなんも書けてませんでした。桜が散る前に完成して良かったと思うことにします。次はお原稿と、にょたゆりでなれそめを書きたいです。
    桜流し 獅子神敬一が死んだ。
     四月の二日、桜が散り出す頃のことだった。



     村雨にその死を伝えたのは真経津だった。
    「——は?」
    「死んじゃったんだって。試合には勝ったのに。獅子神さんらしいよね」
     真経津は薄く微笑んで言った。「獅子神さん、死んじゃった」と告げたその時も、彼は同じ顔をしていた。
    「……いつだ」
    「今日。ボク、さっきまで銀行にいたんだ。ゲームじゃなかったんだけど、手続きで。そしたら宇佐美さんが来て教えてくれた。仲が良かったからって」
     村雨はどこかぼんやりと真経津の言葉を聞いていた。
    「あれは、……獅子神は家族がいないだろう。遺体はどうするんだ」
    「雑用係の人たちが連れて帰るって聞いたよ」
    「そうか」
    「銀行に預けてる遺言書、あるでしょ。時々更新させられる、お葬式とか相続の話とか書いたやつ。獅子神さん、あれに自分が死んだ後は雑用係の人たちにお葬式とか後片付けとか任せるって書いてたみたい。まあ銀行も、事情が分かってる人がお葬式してくれた方が安心だもんね」
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