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    imori_JB

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    imori_JB

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    にょたししがモブレに反撃して相手が死んだ話の続き。
    ゴミはゴミ箱へ、当然のお片付けです。

    #JB腐
    #さめしし
    #女体化
    feminization

    Dust To Dust -Ⅱ「診せろ」
     村雨の言葉に獅子神は顔を強張らせ、再び俯いた。
     毛布の下の身体に残された跡は、恋人に見せるには余りにもおぞましい痕跡だ。
     勿論それを晒した事により村雨に何らかの心変わりが生じる事などありえないし、その事は獅子神も良く分かっている。
     それでも心情としては見せたくない、が先に立つ。村雨は今、誰よりも見せたくない相手だった。
     他の相手ならば容赦無く邪魔な布を剥ぎ取り診察するか、診せる気がないなら帰れと蹴り出す村雨も流石に今の獅子神相手には何方も出来ない。
     無表情の下で途方に暮れれば、獅子神にぴったりと毛布越しに密着し獅子神の背を撫でていた真経津が察して柔らかく促す。
    「獅子神さん、村雨さんに診てもらおう? ね?」
    「……」
    「村雨さんならキレイに治してくれるよ」
     村雨が獅子神と出会った時には、彼女の手に刻まれた傷跡はもうどうにもならない状態だった。
     もっと早く治療を受けていれば、目立たぬように出来た筈だ。或いは美容整形的な分野での治療ならば、今からでも消せるだろう。
     しかし他ならぬ獅子神自身がそれを望まない。彼女は真経津戦での敗北を忘れぬ為に、更に昇っていく為に、遺す事を望んだ。
     けれど何の成長の足しにもならず、ただ苦痛と恐怖だけを思い起こさせる傷など残す必要は何処にも無い。
     腹が決まったか。微かに身じろいだ獅子神に、村雨は真経津に告げた。
    「あなたは席を外せ」
    「はーい」
     ごねる事無く、普段よりもずっと聞き分けよく真経津は立ち上がった。従業員の先導でリビングを出て行く二人の背中を見送る事無く、村雨は目の前の獅子神に視線を戻す。
     ドアが閉められた後、浅く息を吸って吐いた獅子神は毛布を落とす。普段働かない表情筋を駆使して表情が0.01ミリも変わらぬよう保った村雨の努力は、きっと誰もが認めるだろう。
     引き裂かれ、前を閉じる事が出来なくなっているシャツと肩紐の片方が千切れた下着。下半身の衣類には大きな異変は無い。そこまで相手が到達する前に排除したのだろう。獅子神は正しい。
     左の二の腕に手指の形に皮下出血。大きさ等から判断するに相手は成人男性。かなりの体格の相手だ。獅子神が殴られた頬も左側である事から利き手は右、麻酔無しで切り落としてやりたい。
     右鎖骨付近にも皮下出血、此方は打撲痕、鎖骨が骨折している可能性は……無さそうだ。右肩と右乳房上部にかなり深い咬傷。残る歯型は何本か歯が欠けている。傷は幸い、骨や主要な神経までは達していない。
     こんな時だけ村雨は自分の鋭敏な感覚と目を少しだけ疎ましく思った。糞袋がどのようにして獅子神を傷つけたのか、目の前でその様子を眺めるのとほぼ変わらぬ精度で理解してしまう。治療の上では有用だが恋人としてはただ辛い。
     ――村雨は今、二十九年の人生で一番の殺意を覚えている。残念な事にその相手は既に彼岸へ逃げ去っているのだ。捕まえ連れ戻し、生きたまま切り刻んでやれたなら多少なりとも気が晴れただろうに。
     怒りを息に混ぜて吐き出し、改めて獅子神を見る。打撲や皮下出血、鎖骨の骨折疑いも問題だが最も大きな心配は咬傷だ、細菌感染している可能性がある。傷口の洗浄と縫合、抗菌薬の投与と次々に頭の中で治療方針を組み立てる。
     幸い、職場から此処まで来る間に自宅に寄って医療道具の一式を持って来ている為全てこの場で完結させられるだろう。
     まずは傷口の洗浄を、と肩と乳房の咬傷から視線を外した村雨は、獅子神の顔を見て息を一瞬止める。
     澄んだ水底のような、青い中にゆらゆらと透明を湛える彼女の双眸は、こんな時でなければ見惚れる程美しい。その美しさと、泣き言を漏らすまいと引き結ばれている腫れあがった唇の端の乾いて褪せた赤の跡との対比に胸の奥がざわついて乱れる。
     持参した生理食塩水のパックに伸ばしかけた手を引っ込めて村雨は獅子神の後頭部と背中へ手を伸ばした。抗わない彼女を胸に抱き寄せ、背中をトントンと軽く叩く。
     傷の治療に役立つ行為ではない。普段の村雨ならばまずしない行動は、深くふかく傷付いた獅子神の心に対する手当てになれば、と願ってだ。
     暫く続けると、微かに震える声で獅子神が呟いた。 
    「少しは強くなった、って思ってたんだ」
     男性の平均身長に達する程伸びた身長、筋力トレーニングで身に着けた筋肉。あくまで護身程度にだがジムで格闘技だって習った。
     もうあの頃の、膝を抱えて息を殺し、両親の不興を買わないように怯えていた小さな自分とは違うのだと、そう思いたくて。
    「でも駄目だった。笑えるよな、こんなデカくなっても親に怒鳴られたら頭真っ白で一歩も動けなくなるんだ」
    「……」
     村雨は無言のまま、獅子神の背を撫でる事を止めずに彼女の独白に聞き入る。 
    「親不孝者、恩知らずって。まともに育ててもらった記憶なんて全然ないのに」
     望まれて生まれた子供では無かったという事は、幼い頃から分かっていた。
     両親は酔う度にお前なんか産まなきゃよかった、堕ろす金をケチったばかりにこんな無駄飯喰らいを育てなきゃならなくなったと悪態をまき散らし、獅子神に手を上げたからだ。
     堕ろす、の意味が分からず学校の図書館で辞書を引いて、理解した時にはもう悲しいという感情すら浮かんでこなかった。
     命を繋いでいた水道が止まった事で水を求めて浮浪児同然の格好の獅子神が外に彷徨い出て、そして警察に保護された時も、その後児童養護施設に入る事になった時も、両親からは何の問い合わせも申し立ても無かったという。
     きっと金食い虫、無駄飯喰らいが漸く出て行ったと安堵していたのだろう。これでもう二度と、一生顔を合わせる事は無いと、獅子神だって思っていた。
     思っていたかった。
     何処でどう聞きつけたかは分からない。獅子神は目立つ容姿をしていたし、隠れ住んでいる訳でも無かったから、可能性としては十二分にあったのだろう。それでもそれは、とうの昔に縁を切った筈の親が獅子神に会いに来る事は、彼女の頭に一度たりとも浮かばない事柄だった。
    『不審な男が一人、此処の周囲をうろついているようですよ』
     そんな従業員からの報告にも一体何処の家に用があって、と首を傾げた位だった。
     それが。
     ――それが。
    『何だ敬お前無駄にデカくなりやがってその身体でこんな御大層な家に住まわせて貰ってんのかいいご身分だなおい誰の愛人やってんだおい金返せよお前に掛かった分だよ誰が役立たずを生かしてやってたんだ分かってんだろ』
     しつこいチャイムに辟易しながら訪問者に相対して、大分老けてはいたけれどいやという程に見覚えのある男にそう捲し立てられて、頭の中は真っ白だった。
     心配そうに後ろに控える園田達に聞かせたい訳も無く、震える指で応接室にと示した。それが間違っていた。
    『ふざけんなふざけんなふざけんななんでお前みたいな役立たずがこんないい暮らししてんだよふざけるな畜生身体かこんないい家貰えるならお前を手放さなきゃよかった高く売れたのに畜生』
     何を言われているのか全く理解できないくらいに頭は真っ白で、罵る調子の声だけが耳に届く。
    『この親不孝役立たずの恩知らずせめて俺達の役に立てよ身体でもなんでも売って金作れああでも身体だけは美味そうになったなお前どんな風に金持ちたぶらかしてるんだよおいやってみろよ』
     それで。
     床の上に引き倒されて圧し掛かられて殴られて、咄嗟に子供の頃のように何度もごめんなさいごめんなさいと謝っていればいつかは殴るのも飽きて止むだろうと思ったのは浅はかだった。
     何をされようとしているのか、漸く理解したのは肌に粘膜に触れられた時だ。そこは。それは。お前なんかに。
    『――触るなっ!』
     思い切り突飛ばせば一瞬だった。後ろに倒れ込んだ相手はテーブルの角に強かに頭をぶつけて、床に広がる血と痙攣する身体は医療の心得などまるでない獅子神にも一目でもう駄目だと分かる状態だった。
     やってしまった、という恐怖と後悔と同時に、ああもうこれで殴られなくて怯えなくて済むという確かな安堵。
     悲鳴を聞いたか飛んできた従業員達に介抱されて、気が付けばいつの間にか村雨達がやって来ていた。そうして今、抱き締められている。
    「あなたは悪くない」
    「……人を殺したのに?」
    「事故だろう。自業自得のな」
     下らない、愚かな死に様だと村雨は吐き捨てる。親。獅子神の親。まともな話は何一つ聞かない最悪の部類の人間だ。いや人間と呼ぶのすら抵抗がある。糞だけが詰まった糞袋、単なるゴミだ。
     そんなのが一つ二つ死んだからといって獅子神が責められる謂れは無い。司法や万人が責めたとしても村雨は獅子神に非が無いと信じる。
     これで彼女に罪を問うというならば、そんな世界が、法が、人間が狂っているのだ。
    「あなたは少し眠れ。治療には痛みを伴う、その間に済ませよう」
     背を撫ででいた手で薬剤と注射器を取り出す。鎮静効果の高い薬剤だ。夢も見ずに眠れるだろう。
    「……」
    「心配するな、あなたが目覚めるまで必ず傍に居る。もう何も恐れる事は無い」
     ――こくり、と獅子神が頷いた事を確かめてから、村雨は獅子神の皮膚へ針先をそっと押し当てる。
     
     すぅ、と冷たい水の中に引き込まれていく心地の中、遠くで離れていくエンジンの音が聞こえた、気がした。 


     *

    「真経津さん、あの……待つならもっと別の場所でも」
    「ううん、いいんだ。此処で待ってるよ」
     獅子神邸の玄関。村雨によりリビングから追い出された真経津は、普段我が物顔で利用するゲストルームでは無く玄関に来ていた。
    「それよりも掃除手伝った方がいいんじゃない? 園田さん一人でやってるんでしょ?」
     手の中で乾電池を弄びながらドアを見つめる真経津の姿に首を傾げていた彼は、真経津の言葉に困ったように右往左往してから玄関を離れて行った。
     従業員の彼は真経津が待つのは出て行った叶と天堂だと思っているようだが、実際には違う。真経津が待つのはもう一つの禍根だ。
     ドアの傍には来客を確認するための小さなモニター。深夜の今、当然に無人のそこを眺めて真経津は呟く。
    「まだかな。飽きる前に来てくれると良いんだけど」
     そんな言葉と、白い人影が写るのがほぼ同時だ。鬼の形相で狂った様にインターフォンに指を叩きつけているが当然反応は無い。当然だ、先程真経津が電池を抜いたのだから。
     出て来なさいあんたお父さんに何をしたのさっさと払いなさいよ、と時刻も気にせず喚く女に思わずわぁ、と気が抜けた声が出る。これはまた随分と典型的で分かりやすいのが来た。
     ご近所迷惑は良くない。嘘だ、近所なんかどうでもいい。ただ、今一番気を許せる場所で眠るひとの眠りを妨げられたくなかっただけ。
     モニターの人影が埒が明かないとドアを殴ろうとした瞬間、真経津が内側からドアを開く。
     ドアを殴る為に拳を振りかぶる姿勢のまま、呆気に取られたように口を半開きにして目を見張る女に、あは、と真経津は嗤った。
    「こんばんは、待ってたよ。――ボクと遊ぼう?」
     ――獅子神さん、お母さん似じゃないんだね。
     そんな言葉が、女が正気を失う前に聞いた最後の言葉だった。

     *

     ある日、とある奴隷が一人バラ売りに回された。
     カラス銀行の倉庫に入荷するのは珍しい女ではあったが既にまともな精神状態では無く、若さも美しさも無く、早々に売れる見込み無しと判断された。
     女は内臓を始めどの部位も良い状態とは言い難く――何故か肺や腎臓、卵巣などの二つある筈の臓器は一つずつしか残さされていなかった――、結局それらは商品にも回されずに破棄処分される事になった。
     損失だと特0課は頭を抱えたが、ゴミはゴミ箱へ。仕方がない話である。
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