共通点 きっと誰かに話を聞いてもらいたかったのだろう。
どうぞ、と緑茶と茶菓子をテーブルに差し出してくれた少女は、そのまま立ち去ることなく若狭の向かいの座布団へと腰を下ろした。
そうして天気、流行りのアーティスト、近くにオープンした洋菓子店と、ころころ話題を変えながら若狭へ話を振り続ける。
これは待ちぼうけを喰らっている自分が暇をしないよう気遣ってくれているのだろうかと思ったが、洋菓子店から万次郎への話に変わったとき、それまで笑顔だった少女の表情に些か曇り始め──そこで若狭は気づく。
ああ、待ちぼうけを喰らわされているのは自分だけではなかったな、と。
真一郎から彼の実家で昔のアルバムを見ようと誘われたはずの自分は、「悪い。少しここで待ってて」と客間へと案内された。どうやら彼の弟の友人──ドラケンがバイクの希少なパーツを手に入れたらしい。
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