初夏の熱 むっとする暑さで目が覚めた。
換気扇が回っている音と、そしてとなりでまだ眠っている真一郎の寝息が耳に届いて、夕べは彼の部屋に泊まったことを思い出す。
電気を点していない部屋は、しかし十分に周囲を見渡せる程度の明るさがあった。カーテンのふちから、朝の光がしとやかに入り込んでいるのだ。
時計を見れば、午前六時十分を指していた。
若狭は真一郎の寝顔をそっと覗く。
きっと彼も暑いのだろう。額にじわりと汗をかいていて、眉根が寄っていた。
まだ六月だというのに、気温も湿度もすっかり夏をはらんでいる。
若狭はエアコンのリモコンを取ろうとしてからだを起こした。だが、後ろから伸びてきた手にぐいっと引かれて再びベッドへ沈む。
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