きっとうまくやれるから「一度、試してみてよ」
「連絡してきたと思ったら」
すぐそばから、ため息混じりの声が降ってくる。
「ごめん、他にはちょっと頼みづらくって」
日光に遠慮がちに寄りかかりながら、重い体を引き摺るようにして前に進む。日光は僕の腰に手を回している、けれどそれは色っぽさなんてものは皆無で、完全に介助のそれで。
今日僕は、検査を受けるために大きな病院に行っていた。想像していたよりも体への負担は大きかったようで、まっすぐ進もうと思っているのに千鳥足になってしまう。
都会の喧騒の中、大の男二人が横並び、顔を顰めた人々に避けられながら駅の方へ進んでいく。
「まさか呼び出された先が病院とは思わなかった。 身内にも連絡したほうがいいんじゃないのか?」
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