ビサイド・ユーにはまだ早い「あ、イデア先輩こんにちは。ちょうどいいところに。ご一緒してもいいですか?」
「などと言いつつ既についてきてるじゃん」
授業帰りの道すがらばったりエンカウントした君が当然のような顔をして隣に来たので溜息ひとつ零して肯定した。まあ君が拙者の部屋に入り浸るのは不本意ながら慣れちゃったし、害もないからいいんだけどさ。
とはいえ隣を歩かれるのは流石にちょっと悪目立ちしそうで嫌なんだよな。でも一回いいよって言っといてやっぱりやめてってのもちょっとどうかと思うんですよね。たたかうどうぐこうたいにげる。選択肢はいくつかあるけど、どれも現実的じゃないっていう。せめてなるはやでこの場を後にしようそうしよう。
「イデア先輩、競歩にでも出るんですか?」
「は? 出ないが? 早足になっただけで競技とかあまりにもヌルすぎん?」
「これだから股下おばけは………」
「股下おばけって何? 拙者、確かにお世辞にも顔色がいいとは言えませんがゴーストになった覚えはありませんぞ」
「もしかして、脚の長さ」
「は? 脚の長さ? 別に普通でしょ………」
「イデア先輩は普通の定義を更新して、どうぞ」
「え? ヒィッ!? な、なななな何!? くっついてこないで! 拙者はスキンシップ非対応です!」
「ほら、こんなに違うんですよ」
だから股下おばけって言ってるんです、と君が膨れっ面をする。
言いたいことはわかったけど、だからといっていきなり腰に腕を回して脚を押し付けてくるとか最高に意味不明なんですよ。