Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    suno_kabeuchi

    twst夢とi7の作品投下垢

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 78

    suno_kabeuchi

    ☆quiet follow

    i7/SS100本ノック 14本目
    楽とモン天とみたらし団子

    ##i7_SS

    ほうこうてんかんじにはウインカーをおだしください その香ばしさにモン天の耳がぴんと伸びた。追って「ただいま」という楽の声が鼓膜を揺らす。どうやらお土産を買ってきてくれたらしい。モン天は瞳を輝かせてソファからローテーブルの上に移った。短い足を畳んで楽の到着を待ちわびる。
     数分後、モン天が縦に百体ほど並ぶ必要があろうかと思うほど長い脚がリビングに踏み入る。先に手を洗っていたのだろう。モン天の大きな耳がキャッチした水音は恐らくそれだ。さておき、モン天に気づくと「お、今日はそこにいたのか」と快活に楽が笑った。その手にはビニールに入った紙袋がある。美味しそうな匂いはそこからか、とモン天が瞳を輝かせれば、行動を察したのか「ちゃんとおまえの分もあるから焦んな」と制止されてしまった。
    「ほんと食い意地張ってるよな、おまえ」と苦笑しながら皿を片手に楽がキッチンから姿を表した。その上には串に刺さった白玉団子がお行儀よく乗っている。モン天がそわそわしている前に皿を置いた。炭火で焼いたのだろうか、白玉団子の表面の一部がこんがりと色づいていて、それを覆うようにつやつやの琥珀色のたれがたっぷりと滴っている。間近に用意されて素朴な匂いと甘じょっぱい匂いが絶妙に混ざってモン天の鼻腔を擽った。だぱあ、と涎が洪水のように溢れ出た。楽が慣れたようにその口を布巾で拭ってやった。
    「近くで団子の移動販売やっててさ。おまえも天も好きだろうなと思って買ってきたんだよ」
     モン天の反応の良さに楽もまた喜ばしげに目を細める。そんな楽を尻目に、モン天は器用にも串を持つと自分に対して垂直に団子を向けた。かぷりと食いつけばもちもちした触感ととろみを帯びた餡の甘みと適度な塩気にモン天の脳からエンドルフィンがどぱどぱ生成された。
    「いや待て待て待て、縦でいこうとするな。串が喉に刺さるだろ。横からいけ、横から」
     そのまま食べ進め、一段目を食べ終わろうかというタイミングで顔を顰めた楽が串を持った。取られてなるものかとモン天が渾身の力を込めて串から手を離した代わりに団子を全身で抱き締める。みたらしたっぷりのそれはモン天の毛にこれでもかと絡みついた。楽は叫んだ。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    suno_kabeuchi

    TRAININGtwst夢/イデア・シュラウド
    集中している間に髪と戯れられてるはなし
    待てができるいいこなので ゆらゆらとゆらめくサファイアブルーを見つめること数十分。幸いにしてプログラム生成に集中しているイデア先輩に気取られることもなく、私はじっくりとっくり拝ませてもらっている。
     ほう、と何度目かもわからない感嘆の息が漏れる。昼だろうが夜だろうが、常に薄暗いイデア先輩の部屋ではそのサファイアブルーが陽の下のそれよりも鮮やかに映る。彩度の高いそれは驚くほど瞼に焼き付いては目を伏せてもその名残で閉じた視界に青が散る。
     足首まである長いそれはいざ座ると殆どが背凭れと痩躯の間に隠れてしまうけれど、一筋二筋と零れ落ちるそれもある。カーペットに座っていたけれど、そろりそろりと近づいて音もなくそれに手を伸ばす。燃えているだけあって毛先こそ掴めはしないが、もう少し上の方であれば実体がある。指に絡ませてみれば鮮やかな青に照らされて私の肌が青褪めたように光を受ける。視線だけイデア先輩に向ける。足元にいる私に気づいた様子もなくブツブツと早口で何か捲し立てながらキーボードを叩いている。それに小さく笑みを零して指に絡ませたそれに唇を添える。殆ど何も感じないけれど、ほんのりと温かい気がした。
    678

    recommended works