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    suno_kabeuchi

    twst夢とi7の作品投下垢

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    suno_kabeuchi

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    twst夢/イデア・シュラウド
    実験中の一コマ

    ##twst夢_SS

    オブザーバーには気づかない 材料を投下する。煮詰める。色が変わったらまた別の材料を入れる。毒々しい色の煙を噴き上げて水溶液の質感が変わる。ムラのない紫が光沢を帯びて鮮やかなマゼンタに変わる。イデア先輩の口の端がゆっくりと吊り上がった。うーん悪人面。
    「フヒヒッ、成功……拙者の手に掛かれば」
     陰気に笑みを燻らせて大釜の中身を眇めるイデア先輩はとても機嫌がよさそうだ。元々錬金術は好きとのことだし、つつがなく成功したのもあってうきうきしているのかもしれない。可愛い人だ。
    「レポートと後片付け含めても時間余りそうなんですけど、どうします?」
    「んー……ちょっと別パターン試してみたいな」
     そう言って具体的に語り聞かせてくれたものの、何を言っているのか九割以上理解できなくて「なるほど……」と真剣な顔をして頷くしかできなかった。とりあえずイデア先輩が頭がいい人ってことだけはわかった。
    「絶対わかってないでしょ。そうならそうと言ってくんない? 素直に質問できるのも必要スキルですぞ」
     これだから、と言わんばかりに溜息混じりにお説教されてしまった。よくそれを汲み取れたなこの人。わかったふりは非常にうまい自信があるのに。
     そんなことを言えば「え? 見てたらわかるくない?」と不思議そうに言われてしまった。もしや意外と見られているのだろうか。
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    suno_kabeuchi

    TRAININGtwst夢/イデア・シュラウド
    集中している間に髪と戯れられてるはなし
    待てができるいいこなので ゆらゆらとゆらめくサファイアブルーを見つめること数十分。幸いにしてプログラム生成に集中しているイデア先輩に気取られることもなく、私はじっくりとっくり拝ませてもらっている。
     ほう、と何度目かもわからない感嘆の息が漏れる。昼だろうが夜だろうが、常に薄暗いイデア先輩の部屋ではそのサファイアブルーが陽の下のそれよりも鮮やかに映る。彩度の高いそれは驚くほど瞼に焼き付いては目を伏せてもその名残で閉じた視界に青が散る。
     足首まである長いそれはいざ座ると殆どが背凭れと痩躯の間に隠れてしまうけれど、一筋二筋と零れ落ちるそれもある。カーペットに座っていたけれど、そろりそろりと近づいて音もなくそれに手を伸ばす。燃えているだけあって毛先こそ掴めはしないが、もう少し上の方であれば実体がある。指に絡ませてみれば鮮やかな青に照らされて私の肌が青褪めたように光を受ける。視線だけイデア先輩に向ける。足元にいる私に気づいた様子もなくブツブツと早口で何か捲し立てながらキーボードを叩いている。それに小さく笑みを零して指に絡ませたそれに唇を添える。殆ど何も感じないけれど、ほんのりと温かい気がした。
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    fuki_yagen

    PROGRESS7/30の新刊の冒頭です。前に準備号として出した部分だけなのでイベント前にはまた別にサンプルが出せたらいいなと思うけどわかんない…時間があるかによる…。
    取り敢えず応援してくれるとうれしいです。
    つるみか準備号だった部分 とんとんと床暖房の張り巡らされた温かな階段を素足で踏んで降りてくると、のんびりとした鼻歌が聞こえた。いい匂いが漂う、というほどではないが、玉ねぎやスパイスの香りがする。
     鶴丸は階段を降りきり、リビングと一続きになった対面式キッチンをひょいを覗いた。ボウルの中に手を入れて、恋刀が何かを捏ねている。
    「何作ってるんだい? 肉種?」
    「ハンバーグだぞ。大侵寇のあとしばらく出陣も止められて暇だっただろう。あのとき燭台切にな、教えてもらった」
    「きみ、和食ならいくつかレパートリーがあるだろう。わざわざ洋食を? そんなに好んでいたか?」
    「美味いものならなんでも好きだ。それにな、」
     三日月は調理用の使い捨て手袋をぴちりと嵌めた手をテレビドラマで見た執刀医のように示してなんだか得意げな顔をした。さらさらと落ちてくる長い横髪は、乱にもらったという可愛らしい髪留めで止めてある。淡い水色のリボンの形をした、きっと乱とお揃いなのだろうな、と察せられる代物だ。
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