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    suno_kabeuchi

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    suno_kabeuchi

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    i7SS 100本ノック 27本目
    猛暑日にお使いに行った天と楽のはなし。

    ##i7_SS

    涼を求めて何歩でも 蝉すら鳴かない酷暑。空を見上げずともわかる強烈な太陽の日差しを受けた天の首筋には幾筋もの汗が伝っている。日焼け止めは勿論のこと、帽子にマスクにサングラスと徹底して紫外線を対策しているが、それ故に熱くて暑くてたまらない。日傘を持ってきていなければ比にならない程のダメージを負っていたと思うとぞっとする。焼肉の気持ちがわかってしまった。
     隣の楽を見上げれば、サングラスの向こうで銀鼠がげんなりと眇められている。特に色白の楽は日焼けが酷く目立つ。今ほど男性の日傘が当たり前ではない時からずっと差している分、その違いをよく感じるのだろう。
    「マジであっちぃ……これ日差しっていうかもはや光線だろ」
    「日差しがビームになる日が来るなんて思わなかった」
    「でも家で龍が素麺作って待ってくれてるからな。気合入れて帰るぞ」
    「そうだね。ボクたちには龍の素麺がある。なんとしても帰らないと」
     二人して顔を見合わせ表情を引き締める。互いの腕にそれぞれ下げたエコバッグには必要な日用品が詰まっている。料理を担当してくれている龍之介の代わりに二人で調達した戦利品だ。
    「……龍、確かキュウリの梅肉和え作ってくれるって言ってたよな」
    「……カツオのたたきも仕込んでるって言ってた」
     口にした瞬間、二人の脳裏に鮮明に描かれる。瑞々しい緑に絡む梅肉と、じっくり燻製されて香ばしい匂いを醸すカツオ。そしてたっぷりの氷水が張ったガラスのボウルに揺蕩う弾力のある色取り取りの素麺。
     互いに無言だったし、思考がシンクロしているだなんて当然知る由もない。ただ、示し合わせたように自然と二人して速足になった。
     最後の方は競歩を疑われる程の速度になったし当然汗だくになった。その結果、目を丸くした龍之介に「先シャワーしてきなよ」と笑われてしまうのは数分後の話である。
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    suno_kabeuchi

    TRAININGtwst夢/イデア・シュラウド
    集中している間に髪と戯れられてるはなし
    待てができるいいこなので ゆらゆらとゆらめくサファイアブルーを見つめること数十分。幸いにしてプログラム生成に集中しているイデア先輩に気取られることもなく、私はじっくりとっくり拝ませてもらっている。
     ほう、と何度目かもわからない感嘆の息が漏れる。昼だろうが夜だろうが、常に薄暗いイデア先輩の部屋ではそのサファイアブルーが陽の下のそれよりも鮮やかに映る。彩度の高いそれは驚くほど瞼に焼き付いては目を伏せてもその名残で閉じた視界に青が散る。
     足首まである長いそれはいざ座ると殆どが背凭れと痩躯の間に隠れてしまうけれど、一筋二筋と零れ落ちるそれもある。カーペットに座っていたけれど、そろりそろりと近づいて音もなくそれに手を伸ばす。燃えているだけあって毛先こそ掴めはしないが、もう少し上の方であれば実体がある。指に絡ませてみれば鮮やかな青に照らされて私の肌が青褪めたように光を受ける。視線だけイデア先輩に向ける。足元にいる私に気づいた様子もなくブツブツと早口で何か捲し立てながらキーボードを叩いている。それに小さく笑みを零して指に絡ませたそれに唇を添える。殆ど何も感じないけれど、ほんのりと温かい気がした。
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