依頼が無事に片付いた、とある週末。「たまには香さんも息抜きしましょうよ!」と、美樹ちゃんが飲みに誘ってきた。香は尻込みしていたが、せっかく誘ってくれたんだから行ってこいと、背中を押してやった。こんな仕事をしているせいで、香の人間関係は自然と裏の人間が多くなっちまう。当然、身を守るため、無闇矢鱈に飲み歩いたりはしない。それでもこんな風に誘ってくれる友人がいるのは、ありがたいことだ。
美樹ちゃんがついていてくれるため、そんなに遅くならんだろうと踏んでいたが、香は日付が変わろうとする頃になっても帰ってこなかった。当然、連絡はない。探しに行くかと支度を始めた矢先、ちょうど美樹ちゃんから連絡が入った。ゴールデン街のとある店にいるが、香が酔い潰れてしまったため、迎えに来てほしいとのことだった。俺はすぐに店へ向かった。
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