とうやくんは報われないの続き少しだけ 勢い良く向かってくる量産型脳無の胸目掛けて、鋭く尖らせた氷をぶつける。何かを叫んで氷に突き刺さった脳無に、更に頭以外を氷で覆い尽くし、動けなくした上で1つ息を吐く。
ふわりと、機械の隙間から白い息が漏れた。
焼け爛れた喉は治らず、未だ酸素マスクのような機械が鼻から下と鎖骨辺りまでを庇っている。だが、以前の自分が思い出せない故に、それに対する違和感は特に感じない。
「ほほ、個性の使い方が上手くなったのぉ」
『……どーも』
脳無との模擬戦をとこの場をセッティングしたドクターに、機械音に近い声で返答をし、大きなトレーニングルームから出る。
「寒さはあるか?」
『いや、全然』
部屋を出た先でされたドクターからの問いかけに首を横にふる。個性を使っても大して寒くはない、この身体と合ってるらしいからそういうものなのだろう。まぁ、流石に使い続ければ寒さを感じもするが。
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