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    omo641

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    omo641

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    記憶を持ったまま子供の頃に戻った啓燈が記憶に振り回されたり受け入れたりした先で出会って、すったもんだする話
    とうやくんがナチュラルに身体を売っている

    10月イベント新刊予定の啓燈 俺は、ホークスとして生きた俺を覚えていた。

     何の因果か、逆行、とでも言うべきか、自分の人生の終わりを父親に殴られて思い出した。とはいえ、思い出したからと言って、俺の何かが変わることは無い。だって、俺はなりたい俺になれたから。そりゃあもちろん、人殺しなんて好んでしたくはない、でもその行動原理も理由もわかる。だから俺は、ホークスとして生きた俺の記憶を受け入れて、そしてより良い方向になるよう努力した。
     全部が全部俺の力だけではないが、まぁ頑張った甲斐あって、この世界は以前と比べたら随分と平和になった。

     連合は存在すらしていないし、中心的人物達は各々自身の人生を歩んでいる。詳しく踏み込んではいないが、志村家が壊滅することも無く、轟燈矢が山火事を起こすこともなく、渡我被身子が事件を起こすこともなかった。
     叶うことなら、もう、分倍河原を手にかけるなんてことしたくなくて、彼がもっと優しい世界で生きていけるよう陰ながらサポートなんかもしたりした。
     そうやって、影から見守りながら、俺自身ヒーローとして前とさほど変わらない生活を送る日々は、正直、とても楽しい。最近はエンデヴァーさんとも組めるようになったし、オールマイトはまだ現役だし、夢のような世界だ。今度こそ本当に、ヒーローが暇を持て余す社会を作れるかもしれない、夢なんかで終わらずに。
     まぁ、もしかしたら、あっちが夢だったのかもしれない、そうだといい、と思う程度には、それなりに油断していた。
     
     だから、まさかこんな再会を果たすとは夢にも思わなかったんだ。
     
    「……大変だなぁ、ヒーローは。こんな小競り合いにまで首突っ込まねぇといけねぇなんて。」

     記憶にある顔と随分違うのに、懐かしい顔だと思った。
     見開かれた瞳の中で、キュッと小さくなる瞳孔。獲物に襲いかかる瞬間の猫のような蒼い目と、にんまりと弧を描いた形のいい唇。

    「んだよ、ホークス……変な顔しやがって。また焼き鳥にして飛べなくしてやろうか?」
    「……荼毘、なのか?」
    「……その名前は名乗ってねぇ。俺はただの燈矢だよ。」

     記憶にある荼毘とは違って、美しい顔立ちのまま成長した轟燈矢の姿に、少したじろいでしまう。
     あーあ、と声を漏らした燈矢が、先程あまりにも激しく個性を使ってまで喧嘩していたものだから気絶させた男2人の懐を勝手にあさり始めたのを目にし、思わず口が出る。

    「ちょっと何してんのかなぁ?」
    「なにって、おまえが伸してくれたおかげで貰ってねぇんだよ。金。たく、やってくれるよな。勝った方とホテルの予定だったのに、このままじゃ野宿だぜ。」

     細く白いが、しっかりと男らしい指がするりと男の懐から財布を抜き取った。
     どんな事情があろうと、それを見過ごすわけにはいかず、ペチリと白い手をはたき落とす。

    「イッテぇな、何すんだよ。」
    「おまえがなにしてんの、ヒーローの目の前で窃盗とか、見逃してもらえるわけ無いでしょ。」 

     速すぎる男、ホークス。
     そんなふうに呼ばれ、いつもなら解決後すぐに撤収して他の現場に回るのに、流石にこいつから目を離すのは怖くて、早くサイドキックが来てくれないかとつま先をトントンと鳴らした。

    「こんくらい見逃せよ。人燃やしてるわけじゃねぇんだ。」
    「駄目だって、良いわけ無いだろ。」
    「今日の夕飯こいつら頼みだったんですけど? 俺が食いっぱぐれても可哀想じゃねぇの。このままだと腹減って適当に人燃やして財布奪っちゃうかもしれねぇぜ?」

     見た目は変われど、その厄介さは変わっていない。
     話すつもりなどなかったのに、気がつけば相手の話に乗ってしまっていて、重い溜め息が漏れた。

    「エンデヴァーさんに引き渡すぞ。」
    「ゲッ、それは止めろ。」

     本気で嫌そうな顔をされた。
     やはり、エンデヴァーさんとは仲が良くないのか。轟燈矢について俺が知っている過去から、見た目からして随分と違うようだが、家から出ている点では同じなのかもしれない。しかし、とくに失踪届など見た記憶はないから、轟家とは何かしら連絡は取れているのか。

    「ちっ、つまんねぇなNo.2は。」
    「今は2番じゃないけどね。」

     そこは相変わらずエンデヴァーさんの位置だ。
     お前だって知ってるだろう、と言いたくなったが、くるりと背を向けられて思わず目を見開いた。

    「ふーん、どうでもいいわ。じゃあな。」
    「えっ、ちょっ!」

     ひらひらと手を振って去っていこうとする燈矢に、慌ててついていく。男達は捕縛しているし、あとから来たサイドキックが回収するだろう。

    「は? ついてくんな、ヒーローしてろよ。」
    「そういうわけにも行かないでしょ……!」

     先程まではヘラヘラと笑っていた男は、不愉快そうにこちらをぎろりと睨みつけてきた。美人は怒っても美人だ、しかし、その迫力は凄まじい。美人が怒ると怖いというのは本当だったのか。
     荼毘だって目つきは悪かったし、何度か睨まれたこともあるが、燈矢に睨まれると迫力が違う。もとから睨んでるような目ではないから、余計に剣呑に見えるのだろう。
     しかし、睨まれたからと言って放ってはおけないので、とりあえずついていく意思を見せると、ただの燈矢はわざとらしく舌を打ってフラフラとあて無く歩き始めた。無理矢理とっ捕まえる理由も今のところないから、ついていくしかなく、なんとなく追いかけながら声をかける。

    「今何して暮らしてんの。」
    「何って、見てわかんねぇの? この顔に吊られた奴らにちょっとサービスしてやって金もらってんだよ。」

     あのプライドの高そうな荼毘がそんなことをするのか、と少し驚く。しかし、本当なら、さらに見逃すわけには行かなくなった。

    「それ、犯罪だから本当なら見逃すわけに行かないんだけど?」
    「現行犯じゃねぇのにヒーローが俺を捕まえられるわけねぇだろ。あーもう、鬱陶しいなどっか行けよ。燃やすぞ。」

     蒼い瞳が無感情に背の羽を捉え、チリと背筋が寒くなる。向けられる殺意は見せかけなどではなく、周囲の温度が少し上昇していると感じるのは、気のせいではないだろう。羽根を荼毘に燃やし尽くされたときの記憶が蘇って、背中が痛む。

    「……そういうわけにも行かないでしょ。」
    「ヒーローだから? ハッ、立派な志だな。あぁ、そうか、俺がまた荼毘の頃みたいになって、お前の大好きなエンデヴァーを害するかもとか思ってる?」 

     どこか愉しそうに言う燈矢の言葉に、口を噤む。
     否定はしない。そもそも、俺は俺以外にあの世界を覚えている人間にあったことがない、それこそ、あの世界を俺の夢かと思うくらいには。だが、この口ぶりからして荼毘は居たんだろう。ならば余計にコイツから目を離すわけにはいかない。

    「なんでアイツからお前みたいなヒーローが生まれたんだろうなぁ。……いや、逃げるヴィランを後ろから刺すような奴だ、ヒーロー擬きから、妥当なヒーロー擬きが生まれたとも言えるか。」

     酷い言い草だ。
     相変わらずヒーローを憎んでいるらしい。もっと人生楽に生きればいいのに。荼毘もとい轟燈矢のことを聞いてからずっと思ってた、息苦しそうな人生だと。

    「……でも、お前はヒーローになりたかったんだろ。」
    「……さぁ。今となっちゃもう分かんねぇや。」

     ひらりと手を振って、軽薄そうに笑った燈矢は、ドロリと濁った目で俺を見る。荼毘とはまた違う濁り方だ。荼毘はいつだって目的に向かってギラギラと瞳を輝かせていた、それに比べて、目の前の燈矢は、生気すら感じない死体のような目をしている。
     ただ、荼毘になって居ないということは、俺の聞いた轟家から、少しは良くなったのだろうか。エンデヴァーさんはちゃんとこいつを愛していた。今度は、少しくらい向き合ってるのだろうか。

    「荼毘にならなかったなら、エンデヴァーさんとは少しは上手くやってるんだろ?」
    「はっ……、上手く? なにを? 俺が荼毘になった世界と、この世界は何も変わりゃしねぇ。俺は相変わらず失敗作で、アイツは最高傑作の焦凍しか見てねぇよ。」
    「そんなこと……」

     そうだ、コイツは知らないんだ。あの人がどれだけ、彼の事で苦しんだか。オール・フォー・ワン戦でどれほど燈矢の事で煽られたあの人を抑えるのに大変だったか。でも、それを俺から言うのは違う気がした。なんと言ったら良いか、いつもペラペラと勝手に動く口が全く動かないでいると、燈矢は濁った目を細めて、皮肉げに嗤う。

    「何しても見てもらないって分かったとき、今度も全部めちゃくちゃにしてやろうかと思った。……けど、火力が上がんなかった。」
    「上がんなかった……?」

     まさか、とオウム返しにして聞き返してしまう。荼毘の火力の餌食になった身としては、そんな馬鹿な、という気持ちだ。
     俺の様子見て、ふ、と小さく鼻を鳴らした燈矢は、凪いだ瞳で淡々と語る。

    「何もかも、見たことあることで、言われたことあることで、湧き上がる激情がねぇんだよ。火力が上がんねぇんじゃ仕方ねぇし、諦めろって言われたから、……俺は、そう言われるのを知ってたから、頑張って諦めてみたんだよ。前は消せなかったけど、今回はアイツが燈した火を消したんだ、俺。」

     病室の前で聞いた話、エンデヴァーさんがつけた火を消せずに足掻いて、自身を焼いてしまった燈矢とは、違う道を歩んだ目の前の燈矢。

    「体質が発覚して割とすぐかな……荼毘の事を知って、俺は怖くなったんだ。死んでも見てもらえない、無かったことにされた未来なんて、俺には恐ろしくて堪らなかった。だから、お父さんの言うとおりに、ちゃんと諦めた。」

     痛みも悲しみも、苦しみもない声。ただただ諦観だけが込められた、静かな語りに、気がついたら耳を傾けていた。

    「……でも、焦凍は生まれた。俺が諦めても、アイツはNo.1を諦めなかったし、失敗作の事なんか見てくれなくなった。ま、知ってたけどな、どうせアイツが諦めねぇことも。だから、あんまりショックも無くてさ。感情の昂りが火力に直結すんのに、ああやっぱりか、って気持ちしかねぇんじゃ、どうしようもねぇだろ。」

     燈矢は無感情にそう言って、ポッと小さな炎を手に宿した。
     目を奪う鮮やかな蒼ではなく、炎といえば思い浮かべるような、珍しくもない普通の炎。

    「蒼く、ない……」
    「な、前よりもずっと、今の俺に価値なんてねぇんだ。だから、この顔が価値になってくれて良かった。俺の事を欲しいって言う奴にさ、少し媚びてやるだけですげぇ嬉しそうにしてくれんだ。前は知らなかった感覚で、ちょっと新鮮だ。まさか、お母さんに似た場所に感謝する日が来るなんてな。」

     炎をかき消して柔らかく微笑んだ燈矢は、あまりにも悲しいことを平然と口にした。どうしてこいつはこうも、人が決めた価値に重きを置くのだろう。己の価値なんか自分自身で決めればいい、他人に決められる価値なんか、どうでもいいとすら思う俺には理解できない思考だ。

    「誘うなら遊び慣れてない奴らが良い、アイツらさ、ちょっと笑ってやっただけで、ちょっと触ってやっただけで、引くほど喜ぶんだ。おもしれぇよ。特に異形の奴ら。可哀想だよなぁ、見た目はバケモノなのに、美醜の感覚は普通の人間と変わらねぇんだから。」

     今度は底意地が悪そうにケタケタと笑い始めた燈矢は、ご機嫌でステップを踏む。振り回されているこちらからすると良い迷惑だ。
     とはいえ、現行犯では無いから捕まえることはできない。だが、燈矢の言っていることが全て本当で、そんな生活をしているのなら、エンデヴァーさんに引き渡すのが正しいのだろう。
     しかし、コイツをエンデヴァーさんに引き渡すのは、どうしても前を覚えている俺からすると、抵抗感が湧く。

    「……そんな生活でこの先も生きてく気か? 生きていけると思ってるのか?」
    「さぁ……、無理になったらどっかで死ぬだろ。死ぬのも何回目かな、もう今更、怖くもねぇや。」

     普通の人間ならあるはずの死への忌避。だが、前を知っている燈矢にとって、死は恐ろしくもないのだろう、本心からそう言ってるのだと分かった。

    「つか、どこまでついてくんだよ。俺に何する力もねぇのは分かっただろ。」

     どうしたものか、何時までも燈矢を付け回すわけにはいかない。とはいえ、このまま悪い事をするなと言うだけで解放するのも良くはない気がする。何をするかわからない以上、監視できる場所においておきたい。

    「……帰るとこ無いんだろ、うちに来ればいい。」

     これが一番良い解決策な気がして口にしたが、くるりと振り返った燈矢は驚きでパチリと目を見開いていた。信じられない、と言いたげな表情に、先程から見せる道化じみた笑顔が崩れて少しだけ素の人間らしさを感じた。

    「はぁ? マジで言ってんの?」
    「マジですけど?」
    「……ふぅん。」 

     しばらく何か考えるように、髪を片手で弄っていた燈矢は、何故か憐れみの視線を向けてくる。

    「お前みたいなやつも女に困るんだな。いや、男の方が好きなのか? あ、でもトップヒーローだもんな、醜聞考えたら男の方が安全か。……それとも、お父さんの代わり? 俺、目くらいしか似てるとこないけど。」
    「違う! てか買わないから! お前のこと買うわけじゃないしそういう事目論んでるわけじゃないから‼」
    「じゃあなんで。」

     なんでか、なんて、お前を危険視しているからだとは素直に言えるわけない。なので、へらりと笑って誤魔化すことにした。

    「そりゃ、困ってる人がいたら見過ごせないでしょ。」
    「よく言うぜ、嘘つきの偽物。」

     すぅ、と目を細めて棘のある言葉を吐き捨てた燈矢は、その綺麗な顔を厭味ったらしく歪ませる。勿体無い、せっかくキレイな顔なのに。もっとちゃんと笑ったらきっと、可愛いのに。

    「ヒーローは大変だなぁ、昔のよしみでこんなもの引き取るなんざ。力なんか無いって分かったのにまだ俺を放置するのは不安か?」
    「お前の言い草だと、放置しとくと善良な市民がたらし込まれるからね。」

     上辺だけの会話。
     お互いにお互いを信用してないのなんかわかってる。
     俺はコイツを手元において監視して、ボロが出たら捕まえてやろうと考えてるし、コイツもそれを感じ取ってるんだろう。ヘラヘラと笑って、こちらを逆上させる事を言って煙に巻こうとしているのがよく分かる。

    「あぁ……、そうだな、人助けみたいな態度取っておいて、お前はどこまで行っても、正しい人間の、正しくあろうとする、正しくあれる人間の味方でしかねぇんだよ、ヒーロー。」

     それの何が悪い。正しい人の味方であることを非難されるいわれはない。

    「……正しく生きればいいだけの話だ。正しく生きている人間が、そうじゃない奴に害されるのを黙ってみてろって?」

     そんなのヒーローじゃない。
     正しい人の味方で、誰も傷つけることなく生きている人を助けて何が悪い。どんな理由があれ、人を傷つけるほうが圧倒的に悪いに決まっている。
     少しばかり気が高ぶってしまったが、燈矢はそれを凪いだ目で受け流し、他人の腹の底を暴くように無遠慮に更に一歩踏み込んできた。

    「違うな、そうじゃない。お前は正しい人間の味方してるほうが楽なんだろ? 正しくない人間の抱えてるもんなんて、お前にとっては、とるに足らない不幸だからだ。お前は不幸な家庭で育ったもんな、そんでヒーローなんだ、他の正しく生きられない奴らなんて、自制の効かないやつとしか思わないんだろう。」

     咄嗟に言葉が出なかった。
     違う、とも、そうだとも、言えない。俺自身、それは自覚のない本心だったからかもしれない。

    「こっちは他人の話なんざしてねぇんだよ。みんな不幸だから我慢しましょう? 巫山戯んな、みんなの話なんざしてねぇ。人によって許容量なんか違う、何がトリガーになるかも違う。全ての人間に自分の価値観を当てはめてると、どこかで致命的なすれ違いが起きるぜ、ヒーロー。」

     まるで、見てきたかのように言いやがって。
     ああそうだな、それがあの結末を招いた。俺は、俺の価値観を信じすぎていた、自分の判断は正しいと、思いたかった。くそ、だから嫌いなんだよコイツ。これだけの洞察力があって、それを悪用した、人を傷つけることに使った。どうしたって俺にはそれが許せない。

    「そこまで分かってて、なんでお前は、人を助けようとしないんだ。」
    「ふっ、あはっ、俺だって、前も、今回も、なれたならヒーローになってただろうさ、けど、それを不要とゴミ箱にぶち込んで捨てたのは、お前が尊敬するヒーロー様だ。」

     背を向けて肩を揺らした燈矢は、まるで他人事のように乾いた笑い声をあげる。何を言っても笑われるだけだ、分かってるのに、コイツの態度も言葉もひどく癪に障った。

    「ゴミ箱から出る努力を怠っただけだろ。」
    「ふふッ、そうかもな、しかし、お前とはとことん合わねぇな。ま、衣食住があるならしばらく世話になってやるよ。どうせお前はエンデヴァーに連絡しねぇだろうし。」

     精一杯の皮肉を鼻で笑い飛ばした燈矢は、くるりと向きを変えこちらを見た。俺の思惑なんか全部バレてるとは思っていたが、澄んだ色なのに暗い瞳に見つめられると腹の底まで見透かされた気になって、酷く落ち着かない。

    「俺がエンデヴァーの幸せを壊すかもしれないと思ってるんだろ? だから、お前自身が見張るって言ってんだよな? 引き渡しちまったら、俺がアイツに何するか分かんねぇもんな。相変わらず健気で泣けるぜ、鳥というよりは、ご主人様の評価が欲しくてたまらない意地汚い犬だ。」

     わざわざ口にしなくていいのに、こちらの本心を引きずり出して曝け出す目の前の男は、意地悪く笑う。1言余計だし、明らかに怒らせてやろうという魂胆が見える。
     誰がノるかよ。

    「そーいうの、わざわざ言わないほうが良いと思うけど?」
    「意地が悪いもんで。」

     分かってるじゃないか。
     重いため息を吐いて、羽をいくつかと家の鍵を取り出す。

    「まだ帰れないから、先帰ってて。あと羽、道案内とお目付け役としてつけていくから、燃やしたり逃げたりしたらすぐ追うから逃げられると思うなよ。」
    「面倒な奴に目をつけられちまったなぁ。九州なんて来んじゃなかった……」

     はー、とため息を吐いた燈矢に、ため息を吐きたいのはこっちだと内心思いながら、羽に任せて街のパトロールに戻る。
     厄介な拾い物をしてしまったが、見つからないより見つかっていた方が良い類のものだと自分に言い聞かせて、後ろ髪を引かれる気分で、仕事に戻った。




    続きは結局売りやめさせるために金払って肉体関係持つホークスとか、焦凍を虐める荼毘に成れなかった燈矢兄とか、自覚無く追い詰めてしまったことを悔いている弟妹とか色々の予定、落としたら上げたいし、上げたら落としたいので、一応ハピエン予定です。

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