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    しっぷ

    @sir0_r0

    skdy:
    CPは主にngss

    他は🎲🔨⚙️/ナツキ/🐯/gk周辺がいずれ増えるかもしれない

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    しっぷ

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    ngmと猫ssbが布団でぬくぬくする冬の朝の話。
    ※ssbが完全に猫なので閲覧にはご注意ください。

    キミから始まる冬の朝*
    「さむ……」
     あれだけ暑い暑いと毎日ぐったりしていた季節は気付けばあっという間に過ぎ去っていて、秋というよりはすでに冬の始まりを感じさせている。
     僅かな隙間から入ってくる冷たい空気を防ごうとして出来る限り体を縮こませて布団の中に収めていると、枕元に座った一匹の猫が南雲の顔を尻尾でぺしんと叩いた。
    「なあに…?まだご飯には早いでしょ…」
     朝冷えで目が覚めた早朝、当然覚醒しきっていない南雲は尻尾による攻撃から逃れようと布団に顔を埋め、はっきりしない口調で話しかけている。
     そんな南雲をじっと見下ろしていた猫は依然尻尾を布団に叩きつけて不満を露わにしていたが、おもむろに姿勢を低くすると布団の隙間に頭を突っ込んで暖かな空間へと侵入してくる。そっと布団を捲って中の様子を窺ってみれば、猫は南雲に寄り添うように転がっていて思わず表情が綻んだ。
    「寒いから布団に入れろって言いたかったの?かわいいね」
     艶があり滑らかな毛質はずっと触っていたいほど癖になるのに、触る場所や触り方が気に入らないとすぐに噛み付いて引っ掻かれる。気紛れで素っ気なくて、こちらが遊びに誘っても見向きもしないくせに自分が構って欲しい時は静かにそばに寄ってくる。時々ただ遠くから睨まれていることがあるものの、そういう時は抱っこして甘やかしてあげると満足することが最近分かった。甘え方が下手なのかな。ちょっと目付きが悪いところも含めて全部が愛おしく、目の前の小さな身体をそっと抱き締める。
    「あったかいね、シシバ」
     返事の代わりに、くぁ…と大きな欠伸をした猫はそのまま目を閉じた。

     ***

     ふと体が落ちるような感覚で一気に意識が浮上し、そして全身に走る痛みで完全に目が覚めた。落ちるような感覚─ではなく実際にベッドから落ちたらしい。
     そんなに寝相悪かったっけ…?と思いながらベッドに這い上がれば、視界にはまるで人間のように枕を使って気持ちよさそうに寝ている猫の姿。自分はそんな愛猫を潰さないよう無意識に避けていて落ちたのだと理解した。
     布団を巻き取りながら落ちた南雲のせいで突然寒さに晒された猫は迷惑そうにひと睨みした後、前脚をぐっと前に出して伸びをする。そして軽やかにベッドから降りると寝室の扉のレバーに何度も飛び付いて器用に開けた。
    「え~…それ自分で開けられるんだ…」
     呆気にとられているうちにドアの隙間をすり抜け、さっさと出て行ってしまった猫を追って廊下を進む。

    (今日はこの子と何をして過ごそうかな)

     そんな南雲の心を読み取ったかのように後ろを振り向いた猫が「にゃん」と小さく鳴いた。
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    しっぷ

    DONE5648展後の🔨と⚙。okiさんから招集掛かるまでの、あったかもしれない・あったらいいなというお話。
    全然痛がらないので痛がってもらったり、一人で色々忙ししばさん。
    ※CP要素なし
    The apple of my eye*
     ピロンッ

     静かな室内に軽快な電子音が響いた。
     病室のベッドの上で何の面白みもない真っ白な天井を退屈そうに見上げていた神々廻は、その音に反応して勢いよく立ち上がった大佛へと視線を移す。
     ナイフ握ったまま立つのやめぇ。これから人刺しにでも行くんか。そんな言葉がつい喉元まで上がってきていたが、対象が「ちょっと待っててね」と小走りで病室を出て行ってしまったため発せられることはなかった。
     ベッド備え付けの簡易テーブルには剥きかけのりんごが二切れほどと、きちんと鞘に収められたフルーツナイフ。もしナイフを持ったまま出て行かれたら這ってでも止めなければならないところだったと安堵の息を吐き出す。
     いちいち失礼で、ぼーっとしていて何を考えているのか分からない部下の言動に振り回されるのは日常茶飯事だ。今だって「お見舞いといえばりんご」と言って剥いてくれたのはいいのだが剥きながら自分で食べていて四分の三は大佛の胃袋に収まったし、黙々とお菓子を食べていたかと思えば喉が渇いたと人の水を横取りする始末。一番厄介だったのは、病院に担ぎ込まれる際「おばけがいた」と青い顔で人の服を掴んだまま離さなかったことだ。処置の邪魔になるのはもちろんのこと、傷口に近い箇所を掴んで引っ張るものだから衣服が擦れ、その度に痛いからいい加減離せと叱ったのだった。
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