グッドコーポナイト「あ」
「あ」
シティセンターの路地裏で、Vとジャッキーはそろって声をあげた。ジャッキーはひと仕事終えたばかりで、さて一杯やろうかと雑居ビルから出てきたところであった。一方のVは皺だらけのスーツ姿で、壁にもたれて座り込んでいた。この街では道端に転がる行き倒れはもちろん死体すら珍しくはない。それがよく知る背格好ではなかったら、ジャッキーは気にも止めなかっただろう。
「よう、ジャック。ええと、マジか、偶然だな」
Vは歯切れの悪い口元へ手をやった。だがその口角についた傷を見逃すジャッキーではない。それに目元の痣や白いシャツに散った赤褐色の染みまでは到底隠しきれるわけもなかった。
ジャッキーは親友の前に屈み込んだ。
5157