凛と一緒(13) 潔世一は四歳の頃からずっとサッカーを続けていた。性差が現れていない頃は同年代の誰よりもサッカーが上手かった。成功体験は泣き虫だった潔に自信を与えた。うまくなるたび、ドリブルで抜くたび、蹴球が決まるたび自信がついて、もっとサッカーが好きになっていった。本来であったなら、小学校でサッカーを卒業する予定だった。潔の地域では中学生以上の女子サッカークラブは存在していなかったからだ。なので、中学生の頃は男子サッカー部に入部した。マネージャーではなく、一選手としてである。女子のくせにとせせら笑う上級生がいたなら、実力で打ち負かして黙らせた。争いごとは苦手であるが、サッカーが絡んでいたなら別だった。その頃の潔は埼玉一のエースストライカーであった。
5557