Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    紫蘭(シラン)

    @shiran_wx48

    短編の格納スペースです。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 85

    紫蘭(シラン)

    ☆quiet follow

    グルアオです。
    新婚さんいらっしゃーいな雰囲気の二人です。
    (結婚はしてないです)

    スイートホームを目指して/グルアオ「卒業後に住む場所はもう決まってるの?」

    いつものお家デートにて、グルーシャさんから唐突にそんな質問を受けた。
    二人でプリンを食べているところだったから、口の中に向けて誘導していたスプーンを一時停止して彼の方を見る。

    「えっと、まだ決めてないですけど」
    「それなら…ぼくの家に住むのはどう?」

    いきなりの提案内容に驚いて、スプーンからプリンをこぼしそうになったけれど、なんとかパクリと食べることができてぎりぎりセーフだった。

    甘くとろけるような美味しさを味わいながら、考えてみる。

    うーん、ナッペ山からだと職場までが遠いな。
    でも、仕事をし始めるとこれまで以上に一緒にいられる時間が限られてくるし…。

    大変魅力的なお誘いにどう答えようか迷っている間に、グルーシャさんはほんのり顔を赤らめながらもう一度話し始める。

    「アオイからはまた来ますより、いってきますとかいってらっしゃいって言葉を聞きたいんだけど…」

    この瞬間、私の心は決まった。

    「是非ともお願いします」

    会社までの通勤距離なんて関係ないし、どうだっていい。
    一緒に住むことになれば、グルーシャさんのこんな可愛いところを見れる機会も増えるし、出勤前と帰宅後も会えるなんて…デメリットなんてあってないようなもんです。
    最大のメリットが全てを打ち消してます!

    私の食い気味の返事に対して、グルーシャさんは安心したような表情で笑っていた。

    今まで二十時になったらよっぽどのことがない限り、お泊まりNGの上 問答無用で寮に帰されていたから、これからはずっと一緒にいられるんだと思えばいろんな夢が広がった。

    「なら、卒業後はよろしく」
    「もちろんです!それまでに家事はできるようにしますね」

    二人でにこにこ笑いながらプリンを食べ、一緒に暮らしてからの話を想像でしてみたりと終始のほほんとした雰囲気のまま、夕方頃に今日のデートは終わった。
    今まで帰る時は名残惜しい気持ちでいっぱいだったけれど、あと三ヶ月もすればそんな感情ともおさらばだと思えば、足取りはとっても軽かった。



    そして卒業までの間、一緒に住むことの許可を私の両親に取りに行ったりしたのだけれど、普段の格好とは全く違うスーツ姿で現れた時は驚いた。
    グルーシャさんが言うには、そこは大人としてちゃんとしないと…とのことらしい。
    ただあまりにも気合の入った格好だったからか、お父さんが結婚の申し込みに来たのかと盛大に勘違いして 泣きながらポケモン勝負をグルーシャさんに挑んでいた。
    結果としてはグルーシャさんが勝ったんだけど、彼曰くお父さんはなかなか強かったらしい。
    …でもそばで見ていた私からすると、モスノウでボコボコにされていたようにしか見えなくて、それでも今は言ってはいけないなと察してお母さんと一緒に黙っていた。

    そんなこんなでハプニングが起こりながらも無事許可が降り、卒業式の一週間後、私はいくつかのスーツケースを持ってグルーシャさんの家に到着した。
    合鍵も受け取っているから、そのまま一人で引っ越し作業をするつもりだったけれど、大変だからと彼はわざわざ有給を取ってくれて手伝ってくれることになった。

    まあ、引っ越し作業なんて言っても私の服や日用品だとかを整理するくらいなんだけど。
    寮には食堂があったから、食器類はコップなどの少量しかないし それはもう宅急便で発送・到着済みなのでそんなに時間もかからないはず。

    そらとぶタクシーの荷物入れからスーツケースを出してもらいお見送りを済ませると、玄関の前でインターホンを鳴らした方がいいのかどうか しばしば悩んだ。
    これから一緒に住むんだから鳴らすのはおかしいかな?でも今日は初日だから鳴らすべき?
    んー、でも合鍵もあるしな…。

    グルーシャさんの悩んでいる時の癖を真似して考えていると、中からガチャリと扉が開いた。
    マニューラと一緒に彼が出てきて、何してるのと呆れた顔でこっちを見ている。

    「今日はインターホンを鳴らした方がいいのか、迷ってました」
    「もうアオイの家でもあるんだからいらないでしょ。荷物はこれだけ?
    なら、冷えるから早く入って」

    そう言って私の体だけ先に家の中に入れられると、グルーシャさんはマニューラと一緒にスーツケースを運んでくれた。
    手伝おうとすればリビングに行くように指示されてしまい、言われた通りに向かえばチルタリス、モスノウとアルクジラから熱烈な歓迎を受けた。
    何度かお邪魔している間に一緒に遊んだりしていたからか、仲良くさせてもらっている。

    チルタリスなんてご機嫌に歌まで歌っていて可愛いなー。

    ほっこりしていたら、グルーシャさんとマニューラもリビングに入ってきた。

    「寝室とか案内するから来て」
    「はーい」

    手招きされるがままついていけば、シックな雰囲気の部屋に通された。
    何もない部屋かと思えば、本棚とか少ないけれど物が置かれていて、あれっと思う。

    「…ここ、色々ありますけれど私が使ってもいいんですか?」
    「普段はぼくが使ってる部屋だからね。アオイの服もここに置いた方がいいでしょ」
    「えっ、私がグルーシャさんの寝室を使うんですか?
    そんなわざわざ出なくても、他の部屋使いますよ」

    驚いてそう伝えたら、グルーシャさんは呆れた声でなんで一緒の部屋で寝ないわけとツッコまれる。
    あ、そっか。
    これは所謂同棲なんだから、寝室が一緒でいいんだ…。

    当たり前のことに気づいたのと、寝る時までそばにいられるんだと思えば、頬に熱が集まってきた。

    「だ、だってベッドが一つだったので…勘違いしました」
    「…アオイを抱きしめながら寝たかったから」

    お互い赤くなった顔で見つめ合う状態になってしまい、余計に恥ずかしくなってきた。
    悪天候で帰れなくなった時は別々の部屋で寝ていたから、そんな発想にならなかったんですよ。

    今更ながら大好きな人と始まるこれからの生活にドキドキし始めて、緊張せずに生活できるのか不安になってきた。

    どうしよう。今日私はちゃんと眠れるかな…。


    終わり
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🏠💖😍
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works

    chikiho_s

    PASTTwitterに上げたバレンタインとホワイトデーの連作。
    プレゼントは死ぬほど貰うけど、自分からあげるなんて無いだろうから悩み悶えていればいい
    ココアの件はフォロワーさんのリクエストで。グランブルマウンテン(砂糖たんまり)でもいいね。可愛いね。

    https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19706108
    氷の貴公子とチョコレイト今年もこの日がやってきた。一年の中でも憂鬱な日。バレンタインだ。

    ジムの建物内を埋め尽くす勢いでチョコレートやプレゼントが届く。言うまでもなく全部ぼく宛て。わざわざ雪山の山頂にあるジムまで届けにやってくる人もいる。多分明日は本部に届けられた分がやってくる。正直、意味がわからない。
    この日だけ特別に一階のエントランスに設置されるプレゼントボックスは何度回収しても溢れていて、業務に支障が出るレベル。下手にぼくが表に出ようものならパニックが起きて大惨事になるから、貰ったチョコレートを消費しながら上のフロアにある自室に篭もる。ほとぼりが冷めたらプレゼントの山を仕分けして、日持ちしない物から皆で頂いて、残りは皆で手分けして持ち帰る。それでも裁ききれないからポケモン達に食べさせたり、建物の裏にある箱を冷蔵庫代わりにして保管する。これは雪山の小さな特権。
    4544