結び1. 1 婚姻手続きループ現象について
結婚っていいな。
それがカーヴェの、幼少期の結婚に対する印象だった。
己の人生で最も幸せと運に恵まれていたのは、生まれてから数年くらいである。その当時、両親は自他共に認めるおしどり夫婦であった。まだ建築における寸法の測り方も知らなかったカーヴェでも、己の親が非常に仲睦まじい夫婦であると理解していた。彼らは同じベッドで眠り、挨拶の代わりにキスを送り、慈しみの証としてハグをした。
愛と思い遣りに溢れた両親の振る舞いに、結婚への憧憬は募るばかり。
ーーー ボクも大きくなったらステキなお嫁さんと結婚して、幸せな家をつくるんだ!
結婚生活における苦難や妥協は分からずとも、愛し合うことの真理だけは知っていた少年だった。
4359