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    gryclwn_66

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    gryclwn_66

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    GHケイトのGHとしての心持ちとジャクリーン🐱ちゃんとの出会い。モンハン初心者なので設定は捏造マシマシ。

    食事をするということそれはまだ僕自身がハンターとして駆け出しだった頃。大型モンスターの被害によって身寄りをなくし、その日食べるものにも困ってこのまま飢え死にするくらいなら、とハンターズギルドの扉を叩いてから早数年。ようやくソロでの活動も板についてきて難易度の高い任務にも手を出し始めていた。
    「イテテテ・・・」
    簡易キャンプのたき火の前で腕にできた傷口を強く縛り付ける。先ほどまでの中型種との戦闘でできた傷だ。幸い毒や麻痺といった特性をもつ種族ではなかったため傷はきれいなままだ。しかし思ったより戦闘が長引いてしまい回復薬の数も心許ない。任務は無事終わったことだし、このくらいの傷ならしばらく休憩をしてすぐに帰還すれば問題ないだろう。
    なにより、任務完了後の最大の楽しみを逃すわけにはいかない。

    「うーん、これくらいでいいかな」
    慣れた手つきでモンスターの毛皮を切り裂き、巨大な骨を外し、丁寧に解体する。毛皮や骨は武器や防具の素材になるし、人々の生活にも欠かせないものだ。さすがに一人で全てを持ち帰ることはできないため、状態がいいところからできるだけ剥ぎとる。
    「よし、それじゃ今日は・・・もも肉にしようかな」
    残った皮の中に残りてらてらと光を反射する肉。この個体は戦闘中足下に潜り込みにくかったからか足への傷が少ない。きれいなその部分を再びナイフで丁寧に肉を切り離しながら、頭の中で調理方法を考える。そのまま焼いてもいいし、臭みをとるなら煮込み料理もいい。確か途中でハチミツや木の実を拾ったし、それを使ってもおいしそうだ。
    ハンターズギルドはモンスターの狩猟と同時に調査、そして共生を目指す組織でもある。もちろん人々の生活や生態系への影響を鑑みてモンスターを討伐することも多いが、そこに所属するハンターたちの信念も人それぞれだ。
    ギルドからの依頼を忠実にこなす者、生態調査がメインで捕獲を専門に扱う者、復讐のためにすべてのモンスターを屠ろうとする者。だけど確かなのはどんなハンターであれ、モンスターの前ではお互いの命を掛けあっていて、そしてその命の掛け合いの後、奪われた命に対して責任を持っている。
    その責任の取り方が、僕にとっては「食」だっただけ。昔、ひもじい思いをした経験もあってか、僕は気がついたらモンスターを食べるという行為に夢中になっていた。
    もちろん、ハンターによってはまるで禁忌でも犯したかのような目で見てくるやつもいる。家畜へと品種改良されたモンスターもいるが、大型のモンスターの肉をむさぼり食う姿はさぞ恐ろしいものに見えたのだろう。
    だけど僕はこの欲求を諦めることはない。
    食べるために殺す
    生きるために殺す
    人とモンスターの争いは終わることはないだろう。
    いつか僕が命の掛け合いに負けたとき、きっと僕の体も食われ、モンスターの生きる糧となる。それまで僕は世界中のモンスターを食べ続けるとそう決めたんだ。

    もくもくと作業をしている内にあっという間に目の前にはきれいな赤い肉が切り出されていた。一人で食べる量にも持ち帰る量にも限りがあるため、残りは他のモンスターが食べてくれるだろう。
    さて、どう調理しようかな、と意識を肉塊から移した瞬間、目の前を黒い影が横切った。反射的にに背中の武器に手を伸ばすが、その黒い影の正体を見て武器を握りしめていた拳の力を抜く。
    「ア、アイルー?」
    そこには黒い毛並みのアイルーがいた。泥だらけでギルドに所属するアイルーよりも心なしか小さく見えるそのアイルーは小さな口で肉塊にかみつき、そしてそのまま持ち上げ、
    「ふに!」
    肉塊に押しつぶされた。
    ジタバタと黒い手足が暴れているのをみて慌てて肉塊を持ち上げる。そのまま逃げるかと思ったが、その黒いアイルーは必死に肉にかぶりつき、軽く揺さぶれば全身で抱きつき爪を立てて抵抗を見せた。
    「う゛ーーーーっ!」
    うなり声を上げ、こちらを威嚇してくる姿にどうしたものかと思考を巡らせる。このままこのアイルーに肉を分けてやるのは別にいい。持ち運びやすいように小さく切ってやるくらい問題ない。しかし、このあたりは既にギルドの調査が入っているのに、野生のアイルーたちや隠れ家があるとは聞いていない。ということは目の前のアイルーは群れに所属しているわけではなさそうだ。それに細い手足にギルドのアイルーたちなら軽々と運べる大きさのものすら持ち上げられない位に弱っている。よくよく観察すれば汚れていてわかりにくいが黒の中に紫の毛並みが混じり小さく震え、青い瞳には隠しきれない恐怖が見えた。このまま、この子を放置しておくわけにはいかない、それに。
    「・・・お腹をすかせたやつは放っておけないしな」
    未だこちらを威嚇するアイルーとともに肉塊を再び元あった場所に戻し、腰からナイフを取り出す。
    「!!」
    「大丈夫、少しもらうだけだから」
    それを見た途端いっそう毛並みを逆立たせているアイルーをなだめながら肉塊から薄く肉を切り出した。そして準備していたフライパンを火にかけ、肉に火を通しながら持っていたスパイスを振りかければ、肉の焼けるいい匂いとともにスパイスの香りが空腹を誘う。作業の合間に驚かせないように横目でアイルーへ視線を向ければ、すっかり匂いにやられたのか視線はフライパンに釘付けだ。しっかり肉に火が通ったのを確認して仕上げに蜂蜜をかければ、子供でも食べやすい肉の蜂蜜がけの完成だ。

    「さあ、どうぞ召し上がれ」
    熱いから気をつけてねと言いながらフライパンごとアイルーの目の前にコトリと差し出す。そのまま数歩下がって距離をとると、警戒を解いてくれたのか、それとも匂いにあらがえなかったのか、肉塊から体を離すと、フライパンへと近づき肉をつまんで口に放り込んだ。
    「ん!んなぁ、はふっ・・・なぁぅ・・・!」
    熱かったのかしばらくはふはふと熱を逃がしていたが、もぐもぐとかみしめるたびに、その青い瞳が見開かれる。2切れ目、3切れ目と次々と肉を頬張りながら幸せそうな表情を浮かべるアイルーにこちらもつられて笑顔になってしまう。
    「おいしい?まだ食べれるなら追加作ろうか?」
    「んなぁう!」
    元気な返事を肯定と受け取り、追加の肉を切り取って再びフライパンを火にかける。今度は違うスパイスを使ってみようか。彼女はどんな味が好みだろう。

    「次は少しピリ辛だけどどう?」
    「みゃ!」
    「おいしい?じゃあこっちのちょっとしょっぱい系はどう?」
    「んなぁ・・・スンスンスン・・・なぅ!」
    「あまり好みじゃなかった?え?こっちのスパイスが気になる?」
    「なぁう、んにゃぁ」
    「あぁ、最初のハチミツかけてほしいんだね」
    「なぁん!」

    気がつけば先ほどまで遠かった距離が縮まり、逆立っていた毛も震えていた体も恐怖が見えた瞳もすっかり消え去っていた。最後には隣でスパイスやハーブまで一緒に選んで分け合って食べた食事は、これまでのどんな食事よりおいしかった。
    肉塊の約半分を平らげ、ぽっこりと膨らんだお腹を満足そうになでるアイルーを横目に後片付けをしていると、突然彼女が立ち上がって森の方へと姿を消した。
    突然の別れに驚きながらも残りの肉を渡そうと追いかけようとしたとき、消えたはずの彼女が戻ってきた。その手に緑色の球を抱えて。
    「それって、回復ミツムシ?・・・もしかして僕に?」
    「んな!」
    大きなそれを僕に差し出しながら彼女は自分の腕をさする。彼女がさすったそこは確かに僕の傷がある場所だ。言われるがままにミツムシから採取した回復薬を傷口にかければ、あっという間に傷口がふさがり、手当てした布も不要になってしまう。
    それをみて満足そうに頷くアイルーに気がつけば僕は手を伸ばしていた。
    「ねぇ、もしよかったら僕の相棒になってくれない?」
    「ふなぁ?」
    差し出した手に小さな黒い手がそえられるまであと少し。
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