Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    かくも。

    雑食野郎です。チェ、マキマと俺ガイル戸塚を愛すやつ。夢・腐はどちらも書けます。ジャンル雑多・捏造・マイナー寄り注意。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 20

    かくも。

    ☆quiet follow

    二次創作GO。

    #二次創作
    secondaryCreation

    紗痲話はほぼ毎日というほど耳にしていて、沢山の男達を裏切ってきた女なのだそうだ。
    そんなひとの看守につくだなんて正直、乗り気にはならなかった。
    そう思い、再び「Clay Pool」と書かれたカードを胸から垂れ下げる。

    「おい、出ろ。今日からコイツがお前の看守だ。Clay Pool、舐められるなよ」
    「えっ、それは、はい。もちろん」

    Kalmia。彼女の名前はそう言った。

    囚人だとはまるで思えなかった。横目で僕を見るそのひとに見惚れたのは事実である。
    ファム・ファタール。彼女は僕にとってのそれだった。

    「大変だねえ。Clay Pool。あの女の看守だなんて」
    「……うん、まぁ。けど思ったよりも、怖く、なかった」
    「ハァ?何それ。ビビってたのね、アンタ」
    「まぁClay Poolはビビりだしドジだしなぁ」
    「ビビリじゃない、ドジじゃない。失礼なこと言うなぁ」
    Tate Brown、Mayra White、Aaron Schirmerがそれぞれに好き勝手なことを言うから、参ってしまう。

    しかしながら、彼らに言ったことは別に、嘘でもなんでもない。怖くはない、ただ。









    ただ、感じる。遊ばれている。


    「はい。じゃあここに食事は置いておきますから。食べておいて下さいね。残さないように」
    「……あなたが食べさせては、くれないの?」
    「………っふぁっ はァ!?何を、」
    「前の看守はそうしてくれた」
    「なっ………ウソ、」
    「…………嘘だと思う?」
    クス。嘲笑われたような気がする。


    「ねえ、足が痛い。少し休ませて」
    「はあ?ちょ、駄目ですよ。これから仕事をしてもらうんですから。それに僕にも僕の仕事があって―――――――、」
    「……じゃあ二人でサボる。膝枕、」
    「え、ちょっとぉ」
    僕の膝にあのひとが凭れ掛かる。あ、柔……じゃなくて、起きてってば!!




    「ねぇ、私のこと好きなの?」
    「…………っあ?」
    「避けてる?悲しい、」
    「アンタほんとなに言って……、ってちょ! 仕事、してください!!」
    「……否定しないんだ。………可愛いね」
    「ぜんっぜん好きじゃありません!!!」
    「じゃあもっと側に来てよ。御利口さんなの?」
    「ちょ、もうあの、ほんと揶揄わないでくださ、」
    「なにそれ。素?………誑しだね」
    「〜〜〜っ ど、っちが!!」
    ハッ、とした。咄嗟に彼女の顔を見るとやはり、嘲笑っている。



    「愛って、表面上のものなのかも」
    「それを受け入れられないのね。上っ面な愛を、そうだろうと、愛と呼べないと言うのなら、」
    「きみは愚かだね」
    そう、常に言われている気がする。でも、
    「……話したいこともない」
    ってあなたが言うから。そこで僕は、自分の心を護身しているだけなのだと、気付いてしまった。
    気付きたくない、自分に。
    話したいこともない、っていうあのひとの言葉が、話したいこともなくはない、という意味だったのか、話したいことが特にないという意味なのかは、僕も気付けはしなかった。
    ファンデーションなど、していないこの頬が、まるで玻璃のように火照っているのを自覚する。

    あなたの前に立つ僕は、舌を曝け出して媚びる、まるで―――――――



    犬。












    邪な心。
    それからも、僕のそんな意思は見透かされたかのようにスルーを続けられる。
    この情事の牢屋の鎖は、もう解けた。僕は自覚してしまったので言い逃れも出来ない。



    「ハイ、身体検査しますよ。ナイフを持ち込んでいる女囚人が発見されたのでね」

    もう、こうして触ることにも下心を覚えてしまう。でももう、否定は出来ない。最早しなくてもよい。それくらい、規則的な理性よりも愛が軍配を上げたのだ。


    もうだから、僕は手なんか出さない。決して出したりしないと誓う。
    そう、この愛の未来のために、ただ今は。


    君を手に入れる近道なのだ。だからここから先には、進んではいけない。



    「馬鹿」

    「へ?ん、ぅっ」

    口は柔らかく、解けるように甘かった。恋い焦がれたキスだ、と直ぐに思った。
    「………離さないで、ください」
    僕がそう言うと、少し目を見開いてあなたは僕を見据えた。
    そしてクスリと、咲う。
    「………離したいワケが、ないでしょ」って。
    でも僕は知っているから。この言葉も、甘いだけのキスも。
    全ては幽閉された自分の脱獄のために、僕のこの想いは、利用されるだけの用途だということ。
    お誂え向きな隘路を述べといて、僕を贄にするつもりだ。けどそんなことはわかっている。

    ただ、それでも―――――――。






    「く〜……。んんっ…」
    「スー………」
    「ふアァ………」
    酒というのは、嫌いだ。何も美味しくはないし、飲みたいとは思わない。
    でも、彼女はワインが好きだったっけ。

    ワインなら、ちょっと好きだ。



    そう思いながら、酒に酔い溺れ寝ている彼らを後にして、僕は部屋を出た。











    お別れだ。






    「Kalmiaさん、カードキーはこれです。これで全部の扉、開きます」
    「ありがとう。他の看守は?」
    「お酒を使い、眠らせました。しばらく起きてこないと思います、」
    「了解。服を交換しましょう。髪はもうくくった」
    「えっ………、ここ、でですか!?でもっ、僕外で着替えま……っ、」
    ぐ、と手首を引かれて振り返る。眼前にはあの真っ赤な瞳があった。

    「時間がない。女同士でしょう、急いで」


    「は、い………」
    有無を、言わせなかった。
    本当に、逃げることしか考えていないんだな、と思った。僕の想いをあれだけ弄んだ癖に、いざとなれば見ない振りをする。

    でも、このひとはそんなもんだよな、とも思った。







    「……着替え、ました」
    「うん、ありがとう。じゃあ。行くね」
    「はい、………お元気で」
    「うん。……君も」





    最低。


    Clay kissed me That's disgustung

    あの日を、思い出す。

    スカートをはいて、髪の長い私。教祖などいらない私。
    私は規律的に、法を犯す。

    あぁ、そんな顔をしないで欲しい。僕はそこまで役立たずではないから、

    騒ぎを起こすくらい、僕だってうまく出来ますよ。
    だから今更、そんな顔をしないで、何もかも、




    「遅すぎたんだよ………ッ、」


    Jailbreak Kalmia tried to escape from prison

    そんな声と、眩しいライトが僕を照らして、痛い。
    足も痛い。慣れないヒールで走るのはひどく難しかった。

    そうか、今更気付いた、あれは―――――――、



    話したいことすら見当たらないという、意味だったのだ。
    僕は最低な誤審をしてしまった。

    やっぱり、表面的な愛を愛と認めるべきではなかった、それでも、



    如何せん僕がヒールみたい。


    それでも、彼女のキスを期待せずにはいられなかった。
    あの最後のお別れのキスは、あのひとにとっては何杯目かも分からなかったのに。

    Brownたち3人が驚いて、僕を見つめているのが視界に入る。と、それにつられて、看守にヒールを銃で撃たれて折られてしまった。


    弾みで転んで、顔を強く打つ。鼻からは血が滴っているのがわかって、ただ痛かった。

    あぁ、その隙に追いつかれてしまったみたいで、約2名ほどの看守が「Damn...why did you do such a stupid thing.」と呟きながら僕の腕を上げて、手錠を掛ける。

    ここまでだった。僕は、フッと嘲笑った。







    僕はパブロフの犬。







    Clay Poolの最後は、結局、檻に入れられ繋がれた犬だ。


    はぁ。














    IMAGESONGS 煮ル果実「紗痲」











    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works