丹恒は夢から飛び起きた。まだ半分眠りの中にいたせいで視界がぐらぐらと揺れる。それと同時に、こめかみがぎりぎりと締め付けられるような不快感。思わず顔を顰めた。目覚めは最悪だ。
「…っは、……う、」
何故か息苦しい。肺がきりりと痛んで、激しく上下する肩に気づいた。どうやら呼吸も乱れているらしい。深く空気を吸い込んで、ゆっくりと吐き出した。何度か繰り返すと揺れる視界も痛みを発するこめかみも大分ましになった。もう一度大きく息を吐き出して辺りを見渡す。
テーブルの上に置かれた飲みかけのペットボトル。
布団の横に無造作に積まれた本の山。
窓際に昨夜干した洗濯物。
そこまで確認して、力を抜いた。見慣れた自室にいくらか正気を取り戻した。枕元に置いてあるスマホの画面を開くと、五時と表示されている。窓から差し込む光はまだ弱い。
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