コレクターオフの日の午後。
久々の休みだったから家でゆっくりしていると、斬鉄くんが「見せたいものがある」と言って家に来た。
斬鉄くんは走ってきたようで、息を切らせながら僕の家に入るなり、僕の目の前に手の平サイズのカードを差し出した。
「見ろ、二子だ」
斬鉄くんが差し出したそれは二子一揮と箔押しされた僕のカードだった。
このカードはおそらくプロサッカーチームとお菓子メーカーが共同開発したもので、お菓子の付録として必ずランダムでプロサッカー選手のカードが一枚付いてくる。
カードの写真はいつの試合のものかはわからないが、間違い無く僕だ。
ボールを蹴り上げた一瞬を捉えたその写真は、前髪が乱れて、その隙間から少しだけ右目がのぞいている。
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