君に会いたかった(水麿) 源清麿とはこの程度なのか。最初の訓練でそう言われて、腹の底が怒りで爆発しそうになった。
「江戸三作の刀がこれではな。実装計画は尚早だったんじゃないか」
「新々刀としていい働きを見せてくれると思っていたのに、期待外れだ」
人間たちは清麿に勝手に期待をして勝手に失望したようだった。抗う力だってあるはずなのに、好き放題並べる人間にこの手は刀を向けることさえできない。
政府の人間たちが次に唱え始めた言葉はひとつに集約していった。
「来たるべき祖の実装に向けて、お前が新々刀の誇りを示さなければいけないんだ」
新々刀の祖。水心子正秀。当然のように認知していた自分すらなんだか憎らしかった。人間たちは彼に酷く期待を寄せているようだ。
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