きゅうそねこかみ「君のせいで、僕は未だに腰抜ケインのダンケインって呼ばれてるんだよ。き、み、の、せ、い、で」
顔を合わすたびに聞かされる言葉。飽きもせずに恨みがましい事を言い続けられるのは大した根気だと思う。
「その執念があるなら、腰抜けって評判もどうにか出来るんじゃない?今からでも一人で採って来れば?」
と呆れて言い返せば、
「嫌だよ。危険なことに足をつっこみたくない。君みたいに無茶なことしてるといつかしっぺ返しを食らうんだ」
とにべもなく両断された。
「あのさ。延々恨み言で僕の不興を買うのは危険って思わない?僕、強いよ?」
悪戯心が出て意地悪な顔で言ってやれば、一瞬鼻白んでから怨念の籠もった目で睨んでくる。
「そんなことになったら君の本性を言いふらしてやるさ!なにがトロールの退治屋だ!」
突きつけた指に噛みつきそうな剣幕。
「君、じつは結構凶暴だよね」
「そんなわけないだろ。僕は人畜無害だよ」
「窮鼠猫を噛むっていうじゃない」
君が噛みつくところ見てみたいなぁと笑うと、彼はひどく嫌そうな顔をした。