其れはまるで御伽話クリスタルタワー。
自分の事。
明かにされてゆく。
調査はもうじき終わるだろう。
何となく、そんな気がしてグ・ラハ・ティアは身の回りを片付けを始めた。
調査に関する物を整頓し自分が居なくても分かるように纏める。
あとは私物か....
もともと私物は少ない。
小さな鞄を開くと一冊の本が目にはいる。
「これ...」
いつか返せるだろうか?
そう思っていたが...。
本を手に取るとグ・ラハは天幕を出た。
片付けの間に夜もすっかり更けこんでいた。
空をみれば月が天井ちかくに昇りかけている。
火番の者が焚き火を眺めている程で、パチパチと音が聞こえるくらい静まりかえっていた。
いくつかの天幕は明かりがまだ灯っている中、グ・ラハは探し人の天幕を探す。
4684