▼お前にしか出来ないんだよ雨が降っていた。
空は晴天と言っても過言では無いほどに澄み渡っていたのにも関わらずザアザアと降り注ぎ人々を濡らしている。辺り一面、それを妨げる様な家や建物は瓦礫に変わり果てており嫌でも全身を濡らす
それがなぜだか気味悪く感じた
アイツは何処にいる?
最後に別れた場所を目指し歩く。妙な胸騒ぎのせいで自然と足は早くなる。早歩きが走るに変わり目的地を急ぐ。暫くすると見知った人物が何人か見えたので地を蹴るスピードは更に早くなった
一番近くにいた軍服を身にまとった男の傍に行くと彼は呆然と地面を見下ろしていた。何も言わずただじっと下を見ているだけなので思わず肩を揺さぶり声をかける。明らかに様子がおかしい
「おい、おい!オーガスト!聞こえてるか!」
何度か肩を揺らすが返事はない。まるで抜け殻の様に何も動かず瞬きすらしてない様に見えた
拉致があかないので他の奴に目を向けると後ろでフィスが蹲りながら声をあげて泣いていた
とても喜びからでは無いのは明白だった。世界は壊れずにすんだのに。なのに目の前の奴はこの世の終わりみたいな顔で泣いていた。
オーガストだって同じだ。何かを失った様なポッカリと穴が空いた様な表情のまま立ち尽くしていた。
少し怖くなって無理矢理フィスを起き上がらせる。
「フィス、アイツは。フィリアはどこだ」
この場に唯一いない。この胸騒ぎの原因かもしれない人物を尋ねる。これで何かしら目撃情報とか何かを吐いてくれるならこの不安もなくなる
祈る様に彼の手を握り締め言葉を待つ
が、彼はその言葉を聞くと懺悔する様に顔を伏せ
「……死んじゃった」
消え入る様な、でも確実に聞こえるような声でそう言った
真相√『そして終幕へ』