第10回 菅受ワンドロワンライ「きらきら/歌/ごちそう」冷たい空気に肺と気管がチクチクした。仕事で体育の授業があるので、まったく運動をしないというわけではないが、やはり部活動をこなしていた時代には及ばない。少しでも負担を減らそうとスーッと鼻から息を吸い、息を吐く時は口から。ハーッと吐いた息は白く、機関車にでもなった気分だった。
今日、及川がアルゼンチンから日本に帰ってきていた。前の帰国はいつだったか、電話やメールはよく寄越してくれるのでいまいち覚えていない。とはいえ、生身の及川に会えるのは久しぶりだ。知らせを聞いて菅原は歓喜したのだが、平日なので当然仕事がある。それに『先生』という立場から、なるべく休みたくなかった。そんなこんなで「じゃあ家で待ってるね」という及川の言葉に甘え、大人しく出勤したのだが。
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