Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    Nota_chann

    @Nota_chann

    ともちづ がろマリ みずさよ

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 10

    Nota_chann

    ☆quiet follow

    ジュリあか 初めて書いた

    日本人女性における指輪の平均号数は9号らしい「ジュリアン見て見て!」
     茜が会うなりジュリアに手の甲をぐいっと近づける。ジュリアは「うぉっ」とかなんとか、言いながらのけぞった。茜の手の甲がきらきらと晒されていた。
    「なんだよ急に……」
    「ファンの子にもらったのだよ、ふふん」
     茜の手のきらきらの正体は、どうやら指輪らしかった。見たところステンレスだろうか、シルバーコーティングの細身の指輪。茜はそれをあろうことか左手の薬指にはめている。
    「いいでしょいいでしょ〜! それでね、指輪と一緒に贈られた手紙に書いてあるわけなの! 『茜ちゃんをお嫁さんにください。』って! キャ〜! 茜ちゃん、罪な女……」
     茜は己の頭を抱えながらそんな感じではしゃいでいた。ジュリアの溜息。
    「はいはい、良かったな」
    「反応うっすいな〜。もっと喜びなよ! ねぇねぇ、茜ちゃんがウェディングドレスに身を包んだらどうなると思う? 世界中が歓喜して、茜ちゃんにひれ伏し、涙を流すに決まってるよね?」
    「そうだな」
    「わぁいすっごい棒読み! だけどいっか〜!」
     茜は指輪を眺めてはきゃいきゃいと喜んでいる。そんなプレゼントは初めてだったのだろう。ジュリアの二度目の溜息。
    「アカネ」
    「にゃ〜?」
     ぱし、と茜の手を取る。茜の目がくりくりとジュリアを見つめて、きらりと煌めく。ほんとうにかわいい顔をしているな、とふと思った。
    「残念ながら、その結婚は無しだ」
    「え〜? ジュリアンそういうとこ介入しちゃう〜?」
    「そうじゃなくて」
     ジュリアはぐっと黙ってから、ぼそぼそと言う。
    「アカネはアタシが嫁にもらうんだから……その結婚の懇願は届かないって言ってんだよ」
    「うにゃ……」
     情けない声と共に顔がみるみる赤くなった。するり、茜の手がジュリアの手の中からいなくなる。
    「それは、その……」
     茜のもじもじした声。
    「ジュリアン、茜ちゃんのこと、めっちゃすきってこと?」
    「……そうなるな」
     薬指から不意に指輪が抜け落ちて、からりと音を立てた。

    「もっとちゃんとしたサイズの指輪、贈ってやるから」
    「……うん」
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works