.宝具威力をアップブーストし、宝具を放つ。
この一撃で倒せればいいが、恐らくこの相性では無理だろうと踏んでいた。
それでもほんのわずかな時間、相手の動きを止め、そのあと狙いは俺だけに定まる。これで他のサーヴァントたちの回復やら魔力装填の時間を稼ぐ。
ーーそう命令したのはマスター、他でもないお前じゃないか。
手も動かせない。声も出ない。
まるで、生まれ落ちたあの時のように、俺は見ているしか出来ない。
何もできない俺に、敵の攻撃が飛んでくる。
あぁ、でも 敵ももう長くはないのだろう。
最期の力を振り絞るような雑な攻撃が目の前に飛んできた。
視界がぼやけていく中で、マスターが俺の名を呼んだ気がした。
悪夢みたいな光景。
俺を囮にすると決めたのはお前なのに、どうして俺の前に出たりしたんだ。
2816