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    🚺345をセンパイにしたいオンナ向けです。終始モブ女視点

    🚺345と服装検査の日 ついにこの日が来てしまった。通学の終点、校門手前で思わず大きく息をつく。潔くペダルから足を外し、自転車から降りる。
     
     遠目で見てとれる、駐輪場のあたりにたむろっている生徒のかたまり。三年生も二年生も一年生も勢揃いである。おおよそ皆やっていることは同じなのだろう。
     
     半年に一度の服装検査。これに引っ掛かってしまうのが、まあ面倒くさいと有名なのだ。スカートの丈を調節したり、暑くて開けていた第1ボタンをキッチリ上までとめてリボンを装着。…よし、行くか!
     
     1年生の夏休み終わり、一発目の登校日。先輩から聞いた言い伝えを胸にいざ昇降口へ。
     
     生徒指導の先生からチェックを受け、突破しなければ向こう三年間は目を付けられるともっぱらのウワサなのだ。
      
     どうか、どうかひと夏の気の迷いから二週間前にあけたピアスが見つかりませんように! ファーストピアス故にあともう二週間は外せない、それに気が付いたときにはもう耳に穴があいていた。どれだけ悔やんでも穴はふさがらないのだ。

     いつものポニーテールをやめ、クソ暑いさなか降ろした髪。どうか深く突っ込まないでくれとヒヤヒヤしながら昇降口をくぐると─────三学年の有名ギャル三人がいた。否、ギャルがギャルじゃない格好で佇んでいた、と言った方が正しいだろうか。
     
     彼女らの名を烏センパイ、乙夜センパイ、雪宮センパイと言う。三人とも系統の違う美人さんでギャルなのだ。かといって怖い印象は一切なく、話すと愛嬌もたっぷりで、これがまた可愛らしい。見かければ心配になるほど短いスカートにガバガバの胸元で女の自分でも目のやり場に困る…といった具合なのに。今日はその限りではないらしい。

     膝下丈のスカート、三人でお揃いの三つ編み、どこから持ってきたのか、雪宮センパイだけでなくほか二人も眼鏡をかけて、所謂真面目系のテイを装ってるように見受けられた。
     
    「おいおいお嬢さん、ちょっとスカート短いんじゃねーの」
    「そこの一年坊主、ネクタイせえ。 …持ってない? 知るかぼけ、購買で買うてきなさい」
    「はい、OK貰った人からドンドンはけていってくださいね〜」
     
     加えて、どうにも検査される側ではない立ち回りをしている様子で、思わず首を傾げる。私と同じく疑問を抱く生徒が多いせいか、昇降口周りはうまく人がはけずにいた。
     
    「センパイたち、何してんの?」
     
     今日のカッコーも可愛いね、なんて口説き文句を添えて、陽キャの男子生徒が空気を読まずに切り込んでいく。後者は許せないが前者に関してはよく聞いてくれた、その場にいた全員の総意に違いない。
     
    「内申点稼ぎ」
    「媚び、かな」
    「もー、二人ともふざけてないで人捌いてよ〜」
     
     なんて、誤魔化されたのが朝の出来事。
     
     朝、昇降口に姿を見なかった生徒指導の先生は、自分のクラスの数学を受け持つ教師なのだが、三限の授業には現れなかった。どうやら子どもさんが体調不良らしく、午後からガッコーに来られるとのことだ。自習に喜ぶクラスメイトらの声が遠のいていく。
     
     あのセンパイたち、派手だし。生徒指導の先生とは犬猿の仲かとさえ思っていたが、結構仲がいいのかも。服装検査を勝手でたのか、先生に押し付けられたのかは定かではないが。ちゃんとこなしていたのもまた事実。手のかかる子ほど可愛いとはよく言うが、生徒指導の先生にまで好かれるギャルたちに尊敬の念を送る。
     
    「あ、」
    「!? 乙夜センパイっ、こんにちは…!」
     
     お昼の購買、人混みでも一際目立つ存在、いつもの目のやり場に困るスタイルにお戻りになられたギャル三人と目がかち合う。乙夜センパイとは委員会で同じ空気を吸う程度の仲で、他の二人とは話したことすらない。パタパタとブラウスの胸元をひろげ空気を送るさまから視線を逸らす。逸らした先は、日焼けのない二の腕。半袖の裾から伸びるそれは華奢だけれど、頼りなさは一切感じない。夏にも関わらず、顔は崩れるどころか、暑さで紅潮した頬に色っぽささえ覚える。
     
    「なんや、お前の知り合いか」
    「ん、委員会で一緒」
    「こんにちは、一年生? 挨拶出来て偉いね〜」
     
     会話を、している。交わることがないと思っていた存在と、今。
     尋常じゃなくいい匂いが、する。同性でもこんなに胸が高鳴ってしまうのに、異性なら死んでしまって居たかもしれない。
     
    「────さ、ピアス開けたっしょ」

     急に耳もとに顔を寄せられ、驚きのあまり固まっていると、そんなことを囁かれた。……バレている、のか。調子に乗っているとか、言われてしまうのだろうか。
     
    「あ、ほんまや」
    「かわい〜」
     
     烏センパイと雪宮センパイに髪をすくわれ、両方の耳にかけられる。心臓がドッッコン、大きく鳴ったのが脳にまで響いた。
     
    「いつもと違う髪型して可愛いな〜って思ったら、ね。ビンゴだった」
    「ユッキー、また乙夜がコーハイのオンナ口説いとる」
    「呼吸と同義だから放っておきなさい」
    「…開けたばっかで外せないっしょ? 先生には黙っといたげる」
    「あ、ありがとうございます…!!!」
    「ね。外れるまでその髪型すんの」
    「あ、えと、…はい」
     
     返事すらまともに返せない自分がイヤになる。
     
    「ポニーテールも可愛いけど、俺は今のが好き」


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