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    ニッカ

    @kirornchr27

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    ニッカ

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    iski 潔カイ 
    お前たちすれ違ってくれ〜!と思いを込め過ぎた。nsが凄いいい奴です。kisとnsは本作では友愛の域。保管用で掲載します。

    #iski
    iskas
    #潔カイ
    resolute
    #腐ルーロック
    rotatedLubeLock

    君の言葉を聞かせておくれ「そろそろ結婚について考えているんだがどう思う?世一」
    「は?お前結婚すんの?マジ?誰と?」
    「は?」

    怒涛の如く過ぎたリーグ戦が終わり、外には粉雪がちらつく。シーズンオフとなり甘い余暇を過ごしていた最中、その事件は起きた。柔らかい雰囲気で包まれていたピロートークに突然ヒビが入った。
    ブルーロックプロジェクトが完遂され、彼――潔世一がドイツの名門クラブに所属することになり、クラブのエースストライカーであり、世一の唯一無二の好敵手――彼には他にも糸師凛だったり凪誠士郎だったりまァ沢山いるのだが――とも言えるカイザーとかれこれ約5年ほど切磋琢磨し技術を高め合ってきた。
    そして世一とカイザーはブルーロックプロジェクト直後から同棲を始めた間柄でもある。つまりは『恋人』と言うことで、つい先ほどまで互いの熱を分け合い身体を重ねていたというのに一体全体どう言うことなのだろうか。いや、自分達以外にここに『結婚する』該当者がいるとでも思ってるのか?カイザーは世一の言葉を脳内で一周させグルグルと考えを巡らせた後、もしかしたら――まるで友達の結婚報告を聞いたような表情をしているが――そういう焦らしなのかも知れない、と結論し、口を開く。が、一歩早いのが彼、潔世一だった。

    「お前、そういう相手居るんだったらもっと早く言えよ。セフレとか作ってる場合じゃねぇだろ」
    「………は?」

    もうそこからは文字通り『地獄』である。
    成程、つまりはそういう事だった。カイザーにとって世一は『恋人』、世一にとってカイザーは『セックスフレンド』なのだ。かれこれ5年間、ずっとお互いにそう勘違いして来たのだ。
    カイザーは身体中の熱がサッと引いたような感覚に襲われた。ベッドに腰掛けているのに足元から崩れるような感情に襲われる。
    どうしようもない気持ちをどうしたらいいのか分からないまま、カイザーはキングサイズのベッドに置いてある最高級のフワフワの枕を4つとも世一に投げ捨てて、ベッドから飛び降りる。枕元に置いてあった自分のスマホを持ち、寝室の入り口近くにある1人掛けのソファーに掛けていたガウンを手にとって部屋を飛び出した。後ろで世一が何か言ってた気がするが、もう何も聞こえないし何も聞きたくなかった。
    玄関まで早足で駆け抜けて、壁に掛けてあるキーケースを持ち、靴を乱雑に履いた。世一が部屋を飛び出してきた音が聞こえたけれど、カイザーが玄関の扉を開けたのが少しだけ早かった。
    あ〜、鍵、閉めてる暇ないな。なんて変に冷静に考えて鍵は世一が閉めるだろうとそのままにしてエレベーターホールまで駆ける。こういう時、運は俺に味方する。ご近所さんとはすれ違って「すみません」しか挨拶出来なかったが、お陰様でご近所さんが乗ってきたであろうエレベーターに飛び乗れた。エレベーターの扉が閉まる直前、「カイザー!!」と誰かさんの怒鳴り声が聞こえた気がして、心臓が潰れてしまいそうに、なった。
    地下に向かい、愛車に乗り込む。アイツの事だから階段駆け降りて一目散にガレージに来るんだろうな。危ねぇから周り見てくれよ。エンジンを掛けて車を発進させる。ガレージを出る時、バックミラーを見たが世一の姿は見当たらなかった。セフレってそんなものか。また心臓が苦しいと声を上げた気がした。


    「取り敢えず世一のこと殺してきます」
    「……バカか落ち着け、ネス」

    キーケース、スマホ、それから愛車。カイザーが家を飛び出てきた時の所持品だ。文明が発達したこの世の中で、あの地獄絵図の中スマートフォンをちゃんと持ってきた自分を自分で褒めてやりたいほどだった。服装もルームウェアにガウンという、流石にそこはコートでも持ってこいよ、と自分でツッコミたくなったがまぁ車で出て来たので変にパパラッチやらに撮られなければ今のところ問題はない。だがしかし、どこへ向かおう。どうしよう。そうなってカイザーの脳裏に浮かんだのはやはり、カイザーの忠心、ネスだった。
    少しの間車を走らせてから、近くのガソリンスタンドに停めてネスに連絡を取った。「今から行く、泊めろ」「勿論いつでも」ネスの落ち着いた声色を聞いた瞬間、肩の力がふっと抜けてその時に体が強張っていた事を気がついた。
    ネスには5年前に同棲を始めた時に話していたので――嫌だ!嫌だ!と駄々を捏ねられたのも今じゃ懐かしい――「付き合ってるんじゃなくてセフレだったらしい」の一言で説明がついた。
    そして先程のネスの発言である。ちょっとお水買ってきます。のテンションで殺人予告をするのでちゃんと話を聞いていなければ「気をつけてな」と言ってしまいそうだ。落ち着け、と言ったもののそれは自分自身への言葉じゃないか、と馬鹿らしくなって思わずフッと笑ってしまった。

    「…本当に焦ったんですよ、ルームウェアにガウン羽織ってるし、靴は革靴だし、暴漢にでも襲われたんじゃって」
    「暴漢に襲われるようなナリはしてねぇだろうが」
    「あ〜全ッ然自分の魅力が分かってねぇです、カイザーは…」

    リビングに通され、ソファーに腰掛ける。少ししてからネスがマグカップ2つを手にしてカイザーの隣に腰掛けた。ラピスラズリ色のマグカップを渡される。前に来た時も同じものを使った気がする。マグカップからふわりと華やかな香りがカイザーを包んだ。

    「どうぞ、ハーブティーです。」
    「どうせなら酒が飲みたかったんだが」
    「ヤケ酒なら今度付き合います」

    余計なお世話だ、とマグカップを持っていない手でネスの頭を掴んだ。「あ、いて」ネスが少し焦ったような声を上げる。試合の時よりもずっと弱い力で掴んでいるので全く痛くないだろう。そのままフワフワとした柔らかい髪をワシャワシャとグチャグチャに掻き乱してやった。

    「シャワー浴びたばっかりなのに…」
    「俺がフラれたみたいな言い方するな」
    「違わないでしょ……世一のくせにむかつきますけど…」

    ごくん。カイザーがハーブティーを飲み込む。そうだった。いや、実際にはフラれてはいない。というよりそれ以前の問題だったのだが。「お前結婚すんの?」あの時の世一の言葉がリフレインする。

    5年、5年間ずっと勘違いしてきたのだ。
    同じ家に住むんだから折角だし家具を新調しようと一緒に選んだ時も、観葉植物でも育てようと2人で選んだ植物が、多忙なシーズン中に世話をし忘れてしまって、枯れてしまい2人で馬鹿みたいに落ち込んだ時も、世一がデニムパンツを洗濯した時にカイザーのお気に入りブランドTシャツが混じってて色移りして大喧嘩した時も、全部勘違いだったんだ。
    俺だけがお前を好きだったんだな、世一。

    ソファーの上で膝を抱えて頭を伏せる。勘違いなんて恥ずかしいものだと思っていたが、ここまで長い期間、かつとんでもない勘違いだった場合、こんなにもダメージを食らうんだな…なんて冷静に自己分析する。

    「……ハァ、バッカみてぇ」
    「……カイザー……」

    ついさっきまで恋人とセックスしてたって思ってたのにまさかのセフレだったとか。ほんと笑えるな。ぽつりとカイザーが言葉を落とす。テーブルの上に置かれたスマホはサイレントモードにしているため、何も音は無いが先程から液晶がついたり消えたりしているので恐らく連絡が入っているのだろう。…誰から?世一からだったらいいな。カイザーは眠気でぼんやりとした頭の片隅で考える。

    「取り敢えず明日予定はないんですね?そしたら寝ましょうカイザー、ベッド使ってください」
    「……んだよ、一緒に寝ればいいだろ」

    別に恋人いねえんだから。ネスに居たらやめるけど。いつも凛として、真っ直ぐで鋭くて全てを見て全てを貫くようなカイザーの目が今は眠気でとろんと溶けてしまっている。ネスは悟られない程度にフッと頬を緩ませる。カイザーのサラサラとした髪を撫でてから「カイザーが良いのなら是非」と笑ってみせた。


    家を訪れたカイザーの目は曇り空のようだった。
    「家出してきた。」と口の端を上げて笑ってみせていたが、グッと握られた手が小さく震えていて痛々しかった。「カイザーならいつでも大歓迎です」と気付かないフリをして招き入れた。玄関の扉が閉まった瞬間、カイザーがそこから動かなくなって。カイザー?と声をかけて顔を覗き込むと、俯いた彼から小さな声が聞こえた。「付き合ってるんじゃなくてセフレだったらしい」
    5年前、「世一と同棲する」とカイザーに食事に誘われた時に話された事を思い出した。真白い雪のような肌が、少し赤くなっていて。恥ずかしそうに逸らされた目からは喜びが滲み出ていた。
    練習中だったり試合中の2人を見ていたら何となく察してはいた。いたけれどもめちゃくちゃムカついた。みんなのカイザーを。なんて思っていたけれど、彼のそんな表情を見てしまったから、嫌だったけど、少し駄々を捏ねてしまったけど、許したのだ。許したんだ僕は。世一、お前がカイザーの心に触れることを。

    多分、世一にも何か言い分があるんだろう。私生活はポンコツなアイツだけど色々考えて――試合中だったらこんな事絶対にあり得ないんだろうな――その結論に至ったのだろうか。そうだとしたら本当に許せない。
    こちらへ身体を向けて、静かにまるで人形の様に綺麗な顔で眠るカイザーの寝顔をジッと眺める。潔世一、お前の結論はそれでいいんだな?ネスはベッドサイドに置いていた自身のスマートフォンを手に取った。



    パッチリと目が覚める。シーズン中の早起きが恐らく体に染み付いている。いつも通り朝5時半にカイザーは目を覚ました。目の前にはネスが呑気な顔をして眠っている。ああ、そうだ。昨日。昨日の出来事が一瞬で脳裏を駆け回った。何度思い出しても身体が重くなる。スヨスヨと心地よさそうに眠るネスが何だか気に入らなくなって、カイザーはネスの鼻をむんずと指で摘んだ。「ふぎ」と変な鳴き声と共にネスが目をパッチリと開く。「おはようございます」鼻を摘まれ鼻声で挨拶するネスがおかしくて、クックックと笑いながら「おはよ」と返す。うん、なかなか良い気分。

    「ランニングでも行くか」
    「ふわァ〜……そうですね…なんかフルーツでもつまみますか?」
    「いや、俺は良い。洗面台借りるぞ」
    「前に日本で泊まったホテルのアメニティあるんで使ってください」

    洗顔、歯磨き、ヘアセット、スキンケア。カイザーは毎朝の一連の流れを終わらせた後、ネスにジョギング用の服を借りる。
    「げ、靴ねえじゃん」「あ〜いやサイズミスしたやつ一個あった気が…」「ネスぅ〜、お前やるじゃん」
    早朝の玄関でクスクス笑いながらネスにランニング用の靴を借りる。「先、下で待ってるぞ」と扉を開けた。その瞬間、カイザーの動きがぴたりと止まった。


    「よぉカイザー、捜したぞ」

    心臓が暴れる。おかしいな、まだランニングも始めていないのに。いや、理由は分かりきっている。目の前にいる男、潔世一のせいだ。

    「……随分と朝早くからご登場なことで。暇なのか?世一」
    「暇じゃねぇよ、今日は午後からCM撮影だしその前に雑誌のインタビューが入ってる」
    「だったらさっさと仕事へ行け。それともクソ方向音痴なのか?残念だが仕事場はここじゃねえぞ」

    早朝に玄関前で口論など近所迷惑にも程がある。家の中にいるネスが何も言わないということは、恐らく昨日カイザーが眠った後、連絡を取ったのだろう。一晩置いて冷静になった脳で考えるとすんなりと解は出てくる。家の中へ逃げる選択肢を捨て、世一の隣を通り過ぎようとするも、やはりそれは世一により止められる。

    「逃げんなよ、カイザー」
    「……あ?今から俺はジョギングだ。それを邪魔してんのはどこのどいつかもわかんねぇのか?」
    「だから、言い逃れようとすんなって言ってんだよ」

    世一の言葉が強くなる。カイザーは一旦続けようとした言葉を飲み込み、相手の言葉を待った。隣を通り過ぎようとした時に掴まれた腕が、錘のように重くなって動かない。
    お前、もしかして勘違いしてたのか?気持ち悪りぃな。なんて言われるのだろうか。そしたら嫌だな。嫌で余りにも滑稽で醜くてクソムカついて殴ってしまいそう。自分への怒りを他人にぶつけるなんて、随分と子供みたいなことをしてしまいそうだ。ゲスナーは「今でも変わんねぇだろうが。」とか言いそうだな、クソムカつく。

    「おいネス、カイザー返して貰うぞ」
    「はァ?おいクソ世一、約束は守れってんです」
    「今から守るんだよ。ほら行くぞカイザー」

    いつの間にかネスがひょっこりと玄関から顔を出していた。約束?何の話だ。と世一に問いかけるが返答はない。その代わり腕を思い切り引かれながらどこかへ連れていかれる。多分、駐車場だろうな。あ、キーケース…と思ったが、世一が全てスペアキーを持っているので何も問題はないのだろう。カイザーは「自分で歩けるから離せ」と世一に投げかけるも、一切こっちに目も向けずにずんずんと歩みを進める。
    カイザーがここまで乗ってきた車の前まで行き、何故か後部座席に押し込まれる。

    「いや、ちょ、オイ世一!」
    「いいから乗れ」

    後部座席に長い体躯を無理やり詰め込まれ、更に続けて世一が乗り上げる。世一が後ろ手で車のドアを閉めると静寂に包まれた2人だけの空間が出来上がる。
    ドッと心臓が大きい音をたてた。セックスまでしている仲なのに、至近距離で見つめられるだけで心臓が暴れ出す。昨日までなんてことはなかった。あれからだ。「気持ち悪い」と言われるかもしれないと思ってから心臓が変な音を立てる。嫌だ嫌だと暴れている。薄暗い車内で、ギラリと世一の目がひかる。
    そして一言「カイザー」と予想したよりも遥かに優しく柔らかい声色で紡がれる。優しく顔を引き寄せられて唇が重なる。重なる場所からジワリと熱が広がる。唇を舌先で舐められて、薄く開くと舌がするりと侵入する。味わうように絡められ、食べ尽くされるように吸われる。声が漏れそうになり、押し倒されそうな体勢の中世一の肩を押し返そうとするが、彼も多少は鍛えているし全力で抵抗しないとビクともしないのは明らかだった。

    「ン、………っは、世一」
    「……カイザー、あのさ」

    唇が離れて、肺に一気に空気が入る。熱に侵食された頭がぼうっとする。世一はカイザーの髪先を指で口元まで運び、見せつけるように口付ける。カイザーはそれに目を見開かせ、更に頬を赤く染め上げた。

    「なッ…にして…」
    「カイザー、俺と結婚して」
    「は!?」
    「いや、ごめん、というかとりあえず言い訳になるけど話聞いてくれないか。」

    世一が爆弾発言を投下しながら、言葉を続ける。
    日本では交際する前に告白というものがあること。ドイツ、というか欧米辺りではそのような文化がないこと。世一は元々カイザーを自分のものにしたいという欲があったが、そういうタイミングが無いまま同棲しようという流れになったので、セフレだと思い込んでいた。など。なるほど、立派な言い訳である。

    「告白……ってなんだよそのクソ面倒な文化…」
    「いやそっちの方がおかしいだろ。雰囲気で決まるとかそんなん知らねえし。」
    「………何で、今さら、ってか……」
    「…………ネスが、」

    ネスがお前の至近距離の寝顔の写真送ってきたんだよ。世一がそう呟いて、押し倒しているカイザーの肩に顔を埋めた。グリグリと額を押し付けられる。中々に力が強い。こいつ突き飛ばしてやろうか。

    「何他所の男の隣で爆睡かましてんだよって思ってネスに電話かけたら『うるせぇです、クソ世一お前がちゃんと言わないから悪い。明日朝イチで来ないと2度と返さない』って言われた」
    「ブッハ、ナイスじゃんネス」
    「ナイスじゃねぇ」

    クスクスと笑っているとガブリと青薔薇に歯を立てられる。そのまま薔薇を舐めとるように首筋を舌が這う。背中にジワリと這い上がるような感覚に襲われる。思わず背中を少し反らせると腰に手をやられ引き寄せられる。

    「ン……おい、」
    「枕ぶん投げられるし、全発命中だし地味に痛いし、お前めちゃくちゃ傷ついた顔してたし、…いやめっちゃクるもんがあったけど…階段で追いかけようとしたら荷物の運び入れあって行けねえしで…ホント…」

    タイミングが完璧だったカイザーと、最悪だった世一。あの時駐車場に現れなかったのは通行止めを喰らってたのかと思うと、あの時自分が感じた切なさがバカらしく思えてくる。カイザーは世一の話を聞きながらくつくつと喉を鳴らして笑う。

    「…お前が出てった後、電話したけど繋がんなくて多分ネスのところだろうなと思ったけどネスも電話出ねえし」
    「あ〜…俺の話聞かせてたからな…」
    「ネスの電話の後、取り戻したら絶対俺のモンにするって決めた。」

    そしてもう一度、触れるだけのキスが落とされる。
    頬をそっと撫でられて、耳を柔く触れる。世一の熱にじわじわと侵食される感覚に、カイザーが思わず世一から目を逸らす。

    「目、逸らすなカイザー」
    「……っ」
    「俺と結婚して。俺のモンになって、カイザー」

    ああクソ。クソ腹が立つ。5年間俺はお前を恋人だと思って、お前は俺をセフレだと思って。それでも互いに好きで、5年目に勘違いして。5年目に思いが通じ合って。お前の所有物になるなんて、冗談じゃない。

    「クッソ腹が立つな世一、お前のモンにはならねぇ」
    「ハァ!?」

    大きな目をキッと吊り上げて、世一が驚きと怒りを露わにする。その瞬間に世一の胸倉をグッと掴んで引き寄せる。唇が重なる寸前、ピタリと止めると世一が言葉を飲み込んだ。

    「お前が、俺のものになるんだよ。世一」

    家に指輪置いてるからそれまで良い子にしてろ。
    チュ、と音を立ててキスを落とすと、世一がどデカいため息をひとつこぼした。「勝てねぇ…クソ…」らしい。家に帰ったらもう一度聞いてやろう。

    「そろそろ結婚について考えているんだがどう思う?世一」
    「奇遇じゃん、俺もお前と結婚したいと思ってた、カイザー」



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    お前たちすれ違ってくれ〜!と思いを込め過ぎた。nsが凄いいい奴です。kisとnsは本作では友愛の域。保管用で掲載します。
    君の言葉を聞かせておくれ「そろそろ結婚について考えているんだがどう思う?世一」
    「は?お前結婚すんの?マジ?誰と?」
    「は?」

    怒涛の如く過ぎたリーグ戦が終わり、外には粉雪がちらつく。シーズンオフとなり甘い余暇を過ごしていた最中、その事件は起きた。柔らかい雰囲気で包まれていたピロートークに突然ヒビが入った。
    ブルーロックプロジェクトが完遂され、彼――潔世一がドイツの名門クラブに所属することになり、クラブのエースストライカーであり、世一の唯一無二の好敵手――彼には他にも糸師凛だったり凪誠士郎だったりまァ沢山いるのだが――とも言えるカイザーとかれこれ約5年ほど切磋琢磨し技術を高め合ってきた。
    そして世一とカイザーはブルーロックプロジェクト直後から同棲を始めた間柄でもある。つまりは『恋人』と言うことで、つい先ほどまで互いの熱を分け合い身体を重ねていたというのに一体全体どう言うことなのだろうか。いや、自分達以外にここに『結婚する』該当者がいるとでも思ってるのか?カイザーは世一の言葉を脳内で一周させグルグルと考えを巡らせた後、もしかしたら――まるで友達の結婚報告を聞いたような表情をしているが――そういう焦らしなのかも知れない、と結論し、口を開く。が、一歩早いのが彼、潔世一だった。
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