「ジュンらしいね」
唐突に齎された言葉に茨は顔を上げる。事務所のあるフロアの片隅にひっそりと、というには少々目に付く派手さで飾られた笹の葉に吊るされた一枚の短冊を指先で摘まんで、凪砂が微笑んでいた。短冊に書かれた言葉を視界の端に捉えて、茨も頷く。
「まったくもって、ジュンらしいですな」
『あなたのとなりに立つに相応しい人間になりたい』
なんて。そんなことは願わなくてもとうに叶えているだろうに。

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