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    nonono__2323

    @nonono__2323

    燐ニキ、五夏と夏五と羂五と羂夏の文章を置いておく場所

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    nonono__2323

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    燐ニキ しずか

    C-razy「燐音くんと会うまで、こんな映画で泣くことなんて無かったんすよ」
     ニキはすらりとした頬に一筋涙を流しながら、淡々とそう言った。燐音は、そのあまりにも端正な泣き顔を見ながら、ぱちぱちと瞬きする。
     揶揄う気にもならない。
    「俺っちのせいで泣いてんの? 恋愛映画なんつうもん観て」
    「そうっすよ」
    「それは」
     燐音は一瞬押し黙る。
    「謝れって言ってんの?」
    「そんなこと言ってないっす」
     エンドロールは退屈だった。感動的な音楽が鳴っていることは燐音にもわかった、それだけだった。
    「でも、燐音くんのせいっす。ラブロマンスを観て泣くのも、恋愛小説を読んで唸るのも、街中のカップルに目を奪われるのも。ぜんぶ、ぜんぶ」
     ニキは初めて燐音の方を向いた。両方の瞳からまっすぐ流された涙は顎を伝い、ぽたり、ニキの手の甲の上にちょうど落ちた。
    「おかしくなっちゃったんすよ、僕」
     ニキの静かな言葉、燐音は軽口を叩こうとして、すぐやめた、代わりにこんな言葉を吐いた。
    「俺のせいで?」
    「そう、燐音くんのせい」
     ニキはソファに手をつき、身を乗り出して距離を縮めてきた。燐音は臆さずそれを受け入れる。ニキの後れ毛がはなりと垂れる。
    「ひとへの気持ちなんて二の次だった僕が、初めて心動かされた相手。感情に怠惰だった僕を、おかしくした相手。それが」
     ニキの気配が鼻先まで近寄る。
    「燐音くんっす」
     こつ、と鼻が触れて、そのまま柔らかく口づけた。すぐに離れて、燐音はニキを見ていたし、ニキは燐音を見ていた。
    「責任とってね」
     ニキがほんのり目を細めた。そこにはうっとりした感情が豊満に含まれていて、燐音のことをじゅうぶんに酔わせた。
     ふたりぶんのコーヒーなら、もう冷めていた。
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