「…わかりました、リムル様の考えはよぅく分かりましたとも。仕事をしたくないのですね?考える事を放棄したいと?それなら結構、しなくてよろしい」
「えっ、ホント?仕事しなくていいの?」
「ええ、リムル様は何も考えずにそこにいて頂いて大丈夫です」
「やったぁ!流石ベニマルくんだなぁ、頼りになるぅ」
「はは、そうですね…それにしても、仕事をしないスライムなどそこら辺の野良スライムと同じですね、役に立たないクズスライムです。いえ、野良スライムは街の掃除をしてくれるので、今のリムル様は野良スライム以下ですね」
「えっ…ベ、ベニマルくん?」
「あ、やる事がなくて暇ならばお仲間の元に戻られたらどうです?森を探せば沢山見つかりますよ、葉っぱの裏とかにくっ付いてると思うので、一緒に雨水でも啜ってくれば仲良くなれるんじゃないですかね」
「あの、ちょ、怒ってる?怒ってるの?」
「やだなぁ、怒るだなんてそんな…そうだリムル様、森の中で食べ物に困ったら何処探せばいいか知っておいた方がいいんじゃないですか?湿った岩とかひっくり返したらスライムの大好きなご馳走が沢山ウゾウゾしてますからね。お腹空いたら食べて下さいね。良かったですねリムル様、一緒に食卓を囲むと野良スライムともっと仲良くなれますよ」
「あっあっ、待ってベニマルくん、やだ、そんな事言わないで」
「楽しいんでしょうねぇ〜仕事しないでお仲間と虫とか魔物の死骸とか食って寝て遊んで過ごす日々は。ああ、ここには何故か溜まりに溜まった面倒で大変で地味で頭の痛くなるような大量の書類仕事があるだけなので、戻って来て頂かなくて結構ですよ。しかしおかしいですね、この仕事は全部盟主の仕事だった筈なんですが、…あれ、盟主って誰だっけ?」
「ご゛さ゛!!もう仕事押し付けたりしないからぁ!酷い事言わないでぇ!!」
「うわぁ野良以下スライムが何か言ってる気がする。でもまぁ仕事もしないで遊び呆けてるスライムは学なんかなさそうだし話通じなくて仕方ないか。ほーら外で遊んできてもいいぞ、俺は大量にある仕事をしないといけないからな」
「だ゛!俺ちゃんと仕事するからぁ!虫ケラを見るような目で見ないでぇ!!う゛!!!」
この後数時間もの間、ひたすらベニマルに縋り付いて泣き喚きながら謝り倒すリムルの姿があったそうだ。
ベニマルは絶対怒らせてはならない、心に消えない傷を負ったリムルはそう誓ったのだった。