まだ少し早い夕陽が落ちかかり、最終下校時刻の校内放送が始まったところだった。
一階の渡り廊下を「お疲れ様」と会釈してすれ違いざまに呼び止められて、振り向くまもなく小さな手が背に当てられる。
「動くな」
「なんだ?」
「動くなと言っている」
リヴァイ先生の手は背から右の脇腹へとジャージを伝って移動した。部活後だ、エルヴィンの汗も埃もたっぷりと吸っている。
「汚れるぞ」
リヴァイはそれには応えずいつも通りの涼やかな白衣姿を翻し、そのまま足元にしゃがんだ。何をしているのかと肩越しに覗こうとしても、辛うじて黒髪の真ん中に鎮座する可愛らしいつむじしか見えない。
直ぐにリヴァイは立ち上がり、再びエルヴィンの腰に指を当てた。そのまま上につつと指先を立てて這わせてくる。
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