Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    kyou/京式

    主にエルリの小説を書いています。たまにモデリング

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 5

    kyou/京式

    ☆quiet follow

    隠居にいきつくエルリ。ワンドロお題「宣言」より。

    #エルリ
    auricular
    #ワンドロワンライ

    「合わせて宣言したら良いと思うのだが」
    思い切ってもう一度提案してみる。
    「ああ?」
    明日の準備に忙しい彼は、最終チェックと掃除に余念がない。それでもエルヴィンからの問いかけにはいつも通り反射的に手を止めて振り向いた。
    「何をだ」
    「俺たちのことを」
    「俺たちのこと?」
    「結婚したと」
    「…してねえ」
    「では将来末長く共に寝起きし、互いを助け、貞操を守り、ここで紅茶屋を営んでいくことにしたと、開店を祝いに来た客全てに話して回るか?」
    リヴァイがエルヴィンの命令に従わないことは無かった。では提案はどうだ。多少の願望と我儘が混じったお願いに対しても同じことだ、彼はエルヴィンの意を汲む事に長けていて、誰よりも近くでそれを受け入れる事を嬉しく思っている。
    「――それが俺だけだと言って回ってくれたらいいよ」
    「クソだな。そんなもん見てりゃわかるだろ。逆にお前が宣言したほうがいい」
    「何をだい」
    「エルヴィン・スミスがついに腰を落ち着けて、こんな所で店番としてこき使われる羽目になった事をだ。覚悟しやがれ」
    はは。エルヴィンから快活な声が漏れた。二人で遠く長く見聞きしたものが随分と溜まっていた。
    「――そいつをまとめ終わるまで。期限付きでいいぜ」
    「生憎だが一生かかるな。一巡してここへ戻って来た。ここが私と君の終着の土地だ」
    南の最果て。温かく穏やかな人間の土地だ。大きな船も着くから人も物も新しいものと古いものが常に行き交う。
    「そうか」
    「そうだ」
    伸ばした腕の中で大人しく髪を愛でられていた身体はするりと抜け出していき、片手を取ったままエルヴィンを見つめた。もう片方の手で男の腕を軽く叩きながらリヴァイは言った。
    「ここは俺の店だ。明日から言う事聞いてもらうぜ、団長」
    とても満ち足りた風情の兵士長がそこにいた。









    【エルリ】俺たちのことを/宣言/京式
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    きたまお

    TRAINING好きじゃないと言わなくちゃいけないへいちょ。まず、口うるさい。
     リヴァイの一挙手一投足について、ああだこうだと言う。机に向かってまっすぐ座れ、茶を飲む際に音をたてるな、食事は残さず全部食べろ、上官の話を聞くときにらみつけるな、同じ班の兵士とはうまくやれ、字は丁寧に書け、椅子で寝ないでベッドで寝ろ。無視をしてもこりずに何度も言ってくる。
     ハンジなどは、あんなに細かく言ってくるなんて、愛だよね、と呆れたように言う。
    「お母さんでもないのに、普通、大の大人に対してああは言わないでしょう。あ、別にリヴァイが小さいからエルヴィンには子供に見えているんじゃないかなんて言ってないよ」
    「うるせえ」
     たいして必要無いであろうときも、エルヴィンはリヴァイを近くに置いておきたがる。
    「リヴァイ、王都での会議に同行しろ」
    「リヴァイ、訓練には私も参加する」
    「リヴァイ、次の壁外調査では私の直属として動いてもらう」
     隙あらばずっと、エルヴィンは独り言ともつかないことを言い続けている。
    「王都に新しい店ができていてな、川沿いの四番街の先だが、もともとあのあたりは住宅街だったのに、最近は商店が増えている。住民たちの生活が安定して豊かになっているから 2195

    recommended works

    makototakashiro

    MAIKING親リWEBオンリー『3度の飯より君が好き‼︎』への参加作品として書いています。
    非常に不本意で恥じ入るばかりではありますが、当日の夜にしてここまでしか書けておりません……ですが、せっかくスペースを頂いたのに、まるっきり参加できないのでは悲しいので、書けた所まで公開させていただきます。
    完成したらpixivに改めて投稿しますので、機会があれば読んでやってください。
    君と俺の過去と未来(仮題) 見る角度で色を変える宝石のような瞳が揺らいだのは一瞬だった。ゆっくりと瞬きをした後、黒々としたまつ毛の向こうから現れたグレーに動揺の色は、ない。
    「管理責任者のアッカーマンです。どんな些末なことでも言ってください。こちらからも必要なことはどんどん言わせてもらいます。いい仕事にしましょう」
     ごく自然に差し出された手を反射的に握り返しながら、私は自分の手が僅かに震えていることに気づいた。彼にも伝わってしまっただろうかと伺うが、視線の合わない表情からは何も読み取れなかった。
     こんな風に相手を観察しているとまるで冷静なようだが、今の私に冷静さなど欠片もない。動揺の色どころか動揺という概念そのものにでもなったようだ。正直に言えば、目の前の光景は夢なのではないかとすら思っていた。だって、あれほど会いたくて、しかし会えなくて、焦がれ続けた相手との再会がこんな風にやってくるなんて。都合の良い夢でなければなんだというんだ。
    7591