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    nakaikamen

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    まだ楽ヤマ未満のオメガバ

    https://twitter.com/nakaikamen/status/1441399929532944385?s=19
    これの導入だけ書いてみました
    続くかは気分次第

    #楽ヤマ
    pleasantMountain

    二階堂大和は男性である。
    しっかりとした肩から伸びるしなやかな腕は相応に逞しく、がっちりしている。存外腰は細いがキュッと上がったヒップも肉付きの良い太腿もたまらないとファンの間では密かに定評があり、それらを存分に堪能出来るデビュー曲の露出の多い衣装は大人の男の色気と新人アイドルの爽やかさが同時に成立しているといまだに語り草だ。
    ところで、この世界には男女の他に第二性というものがある。
    オメガバースについての詳細はこの場では省くが、現代の‪α‬は特権階級では無いしΩも被差別対象では無い。‪α‬は平均よりは幾許か優秀だけれどβやΩの優秀な人材も幾らでもいるし、医学の発達した現在ではΩのヒートは単なる生理現象の一つだ。
    ただやはり不慮の事故や事件は起こりうるという事で、Ωは意にそぐわない番契約を防ぐ為にうなじを隠すプロテクトバンドを装着する事を推奨されている。
    さて、彼の成人男性らしくしっかりとした首にはいつでもチョーカー型のプロテクトがある。その日の衣装に合わせて色やデザインを変える洒落っ気はΩファッションのお手本とも言われるほどだ。
    二階堂大和は、Ωである。




    「ま、俺は色々軽めな方なんだけど」
    笑ってそう嘯いた二階堂は串に刺さった鶏のもも肉に歯を立てる。しっかりとタレの絡んだ肉はほどよく弾力があって噛めば噛むほど良いお味が広がり、そこに炭酸の効いた冷えたビールを煽れば、口の中が幸せだ。
    アルコールで更に軽くなった口はふにゃりとゆるみ、歌うように話の続きをこぼす。
    「ヒートも処方薬1日1錠飲めば効くし。フェロモンもなー、あんま匂わないみたいで一緒に住んでんのにα‬のナギにもイチにもヒート気付かれた事ないわ」
    あけすけに笑うのはΩであってもまずは男同士という気安さ故か。テーブルを挟んで対面に座った八乙女が興味深そうに聞いている。
    「だから俺、Ωとしては割とポンコツなんだよな」
    「そうなのか」
    「そうそう。見ればわかるだろ?庇護欲を誘う可愛さもないし、おまえさんみたいに誰もが振り返る美人でもない。…まあ八乙女の美貌は強すぎて‪α‬って丸分かりだけど」
    「美人って言うな。…俺は二階堂の顔、綺麗だと思ってるぜ」
    アーモンド型の目元も好きだしパーツのバランスも良いよな、などとアルコールに溶けた目で笑われて、一瞬胸がそわつくのを感じた二階堂は誤魔化すようにビールのグラスを傾けた。
    所属事務所同士の仲が悪く最初の印象こそ互いに良くなかった筈なのに、気付けば二人きりでサシ飲みも珍しくなくなった。今日も共演中のドラマに伴う雑誌での対談の仕事後に、インタビュアーに勧められたスタジオ近くの個室居酒屋で夕食がてら酒を交わすのは当然の流れとも言える。
    「まあ、俺も‪α‬としてはけっこうポンコツなんだけど」
    「は?そんないかにも‪α‬です!って顔しといて?」
    「どんな顔だよ」
    「抱かれたい男No.1にも選ばれる、腹立つほど綺麗な顔」
    「……なんか褒められてる気がしねえな」
    二階堂の軽薄な賛辞にすっと筆で描いたような柳眉が寄る。そうしてると親父さんソックリ、という言葉はさすがに怒らせそうなので飲み込んだ。いつまでも反抗期で可愛い奴、とは思うけどあの親父さんなら気持ちは分からんでもない。
    「俺のフェロモン受容体少し特殊なんだよ。普通は花とか果物みたいな好きな匂いに感じるらしいけど、全然別のもんに感じるんだよな」
    白い指先が一夜干しにされたカマスの身を丁寧に解し口へ運ぶ。顔もスタイルも類稀な八乙女楽は、箸使いすらも美しい。
    「別のものって、例えば?」
    「んー…今回のゲストの」
    「ああ、○○ちゃん」
    すぐに顔を思い浮かべた清純派女性アイドルは、演技もなかなかで何より現場に真摯に向き合おうとする姿勢が良い子だ。そういえば彼女もΩだっけ、そう考えながらグラスに口をつけたのがまずかった。
    「あの子は焼きたてのパン」
    ゴフッ。
    予期せず逆流した空気に押され鼻にビールが入る。よりによって炭酸がシュワシュワと弾け、昔に水泳の授業でうっかり水が入ってしまった時よりも痛い。
    「おい大丈夫か?」
    ゲホゲホむせる二階堂へと気遣わしげに差し出された紙ナプキンをありがたく受け取るが、元はと言えば原因は八乙女である。ようやく発作が治まりじとっと見上げる目には恨めしげな光があった。
    「おまえ、マジか」
    「マジだよ。ついでに女優の✕✕さんはカレーだし、今日のカメラさんは焼きそばだ」
    「やめろやめろ!✕✕さんのイメージ崩れる!」
    「しょうがねえだろ。俺はそう感じるんだから」
    少し口を尖らせて拗ねるてみせるのすら整ってるんだからイケメンはズルいよな、などと思いながらも二階堂は八乙女の機嫌を取るべくテーブルの端に立ててあったメニューを開く。
    「ほら、追加なんにする?」
    「……出汁巻きと焼きおにぎり、あとこんにゃくのピリカラ煮」
    「はいよ。おまえさん、相変わらず見た目よりよく食うね」
    呼び出しボタンを押し、ついでに次に頼む酒を吟味している二階堂に届かない声で、八乙女が呟いた。
    「こんなに腹減るの、おまえと居る時だけだけどな」
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