俺の特等席 暑い夏の日にも、龍は楽しそうに料理をする。
汗だくになりながら大鍋を振るう姿は、きっと幼い頃からこなしてきた家事の名残りなんだろうと思う。
「サッと炒めるだけだし、慣れたら案外気にならないよ」
料理で汗をかくよりヘビーなトレーニングやダンスをしているしね。と、龍は何てことないと笑ってのける。
その姿を見つめながら、冷たい麦茶が入ったグラスを煽る。
カラリと鳴る氷が冷たい。
「出来たよー」
龍は次々と大皿に乗った料理を運んでくる。
二人分の白米と味噌汁を入れたお椀を先立って準備した俺の後ろから、どん、どどん、と効果音が聞こえてきそうなほどにデカい皿。
スパムの入ったゴーヤーチャンプルーに、昨晩から仕込んでいたというラフテー。
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