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    Si__Vales_Valeo

    いつもリアクションやwaveboxへのスタンプをありがとうございます🙏おもしろいと思ってくださった方がいるんだなぁとうれしくなります。

    更新有無わからない中お越しいただくのは申し訳ないのですが、読みたいなって思った人に読んでもらえるこの環境は気が楽なので、ありがたいです。
    読んでくださる方にとっても匿名性が気楽だといいなぁ。

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    Si__Vales_Valeo

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    カルデアモブ職員とフジマルさんと、フジマルさんの隣にいるこわい神様のお話。
    違うモブ視点の話書いてたのにこっち先に書いてしまった。
    いちおうポカぐだ♀です。

    マスターとテスカトリポカとカルデア職員と「フジマル帰還します!」
    「ストレッチャーをこっちへ! ボンベは?」
    「ここです!」

    管制室は俄かに慌ただしくなった。特異点を制することはできたがマスターが瀕死の重傷を負ったのだ。

    「マスター! マスター聞こえますか!?」
    「酸素濃度、93パーセントまで減少しています」
    「リツカちゃん、帰還できたよ!あともうちょっと辛抱してくれ!」

    ややあってフジマルを呼ぶ声が一斉に起きた。ネモナースやナイチンゲールたちが声を張り上げて呼びかけを続けている。

    意識がないのかもしれない。

    俺は振り返りたい気持ちを抑え、計器が刻む数値を読み画面に適切なコードを打ち込んでいった。
    今回のレイシフトはフジマルだけではない。新所長やカドックも無事帰還させなければならないのだ。

    「回復ポッドへ向かいます。
    マスター! もうすぐ痛みも和らぎますからね!」

    背後でガラガラとストレッチャーが走る音が遠ざかっていった。



    ドクドクと心臓がイヤな音を立てる。
    指先の震えを抑えるために、気が散漫にならないよう、腿を力いっぱい捻る。
    俺はモニターから目を離さぬまま、胸の内で叫んだ。

    フジマル、頼む! 死なないでくれ! 俺たちを置いて行かないでくれ!



    まだ死にたくないんだ!!



    結局願うのはフジマルの命じゃなくて自分の未来だ。
    あまりに利己的な己に吐き気がする。
    でもイヤだ。こんな、何度も絶望を繰り返したまま死にたくない。

    計器の前に座っているだけでガタガタと震え、背中には冷たい汗が流れる。
    フジマルのほうが比べ物にならないくらい大変だというのに、俺はどうしようもない男だ。
    指先の震えはどうにも止めることができない。
    誤って違うキーを叩かぬよう、歯を食いしばってモニターを睨んだ。

    頼むよ。頼むから、生きてくれよ。
    また、菓子でもなんでも欲しがるものなんでもやるから。
    このどうしようもない罪悪感を軽くしてくれよ。

    フジマルの容態が安定したと一報が入るまで、俺は自分のために彼女の安否を何度も祈ったのだった。








    ***







    「おーい、フジマル! 今ちょっといいか?」
    「あれ? カワタさんじゃん。どしたの?」

    背後からかけられた声に我がマスターは砕けた口調で応じた。
    ずいぶん気の抜けた声だ。たしかに歳は近い……いや、5つかそれくらい歳の差はあるようだが。人間の歳の差などすぐ吹き飛ぶようなもので、感知するのはあまり得意ではない。

    男は立香の隣にいる我が身を見上げ一瞬身構えたが、すぐさま立香へと顔を戻し硬い笑みを浮かべた。

    「ほら、この前大変な目に遭っただろ? リハビリも大変だったみたいだし……。
    コレ、見舞いだと思って受け取ってくれよ」

    差し出された冊子を覗き込み、立香は驚きの声を上げた。

    「わぁ、漫画じゃん! コレ、おっきーに教えてもらったんだけどすっごい面白いよね!
    電子で読んだんだけど……紙の本なんて、どうやってここまで持ってこれたの?」

    立香は冊子を受け取りパラパラと眺め、それからニヤリと男に笑いかけた。
    それに対して男はしどろもどろに「いやぁ……」と言葉を濁す。どうやらなにかルール違反をしでかしているようだ。

    たしかにコイツらはカルデア基地から逃げ出し彷徨海からも脱出している。紙の書籍など持っているほうがおかしい。

    「細かいことは気にするなよ。俺も黒髭からフジマルが気に入ってるって聞いてさ。せっかくだからアンタにやるよ。
    もらってくれ。な?」

    男は立香に本を押し付け、そのまま来た道を急ぎ足で帰って行った。
    その背中に向け隣に立つ立香が感謝を叫んだ。

    「ありがとー! 大事にするよ!」

    冊子を持つ手とは逆の腕をぶんぶんと振っている。



    ……あの男。
    若輩者の我がマスターを戦地へ送り、そのクセ自らの死を恐れ死ぬなと願う男だ。
    あの贈り物も罪滅ぼしのためだろう。
    知らずにただのおせっかいを喜ぶ少女の笑顔を見て、罪の意識を軽くしているのだ。
    まったく気の小さい小狡い男だ。

    小さくなる背中を睨め付けていると、肩口から落ち着いた声が上がった。 

    「カワタさん、妹さんがいたんだって」

    隣に視線を落とす。さっきまでの明るく砕けた様子は鳴りを顰め、涼やかな瞳が男を見つめていた。

    纏う空気がガラリと変わっていた。

    立香は手元の冊子に目を落とし、表紙で笑う少女の顔をやさしく撫でた。
    そして消えそうなほど小さな声で呟いた。

    「……気にしなくて、いいのになぁ」

    誰に聞かせるわけでもないその呟きはため息とともにこぼれ落ちた。
    拾い上げようと、乾いたくちびるを濡らす。その間に悪戯っぽい笑みが見上げてきて、こぼれ落ちた言葉は何もなかったかのようにそのままどこかへいってしまった。

    「兄弟ごっこも楽しいんだけどね!」

    立香はへらりと笑い、殊更明るい声で言った。



    ……コイツ、気づいているのか。

    呆気に取られる姿をおかしく思ったのか、立香はオレの顔を覗き込んで楽しそうに笑った。
    澄んだ泉ように透き通った空気からいつも通りの賑やかな空気に戻った。

    「テスカトリポカはさ、カワタさんのことバカにしてそうだけど。あの人も戦ってるんだよ?
    わたしがレイシフトできてるの、カワタさんのおかげなんだから。みーんな仲間なの!」

    笑いながらもじっとりと半目を向けられ思わず苦笑する。
    いやにあの男の肩を持つじゃないか。

    「妬けるな」

    そう言うと立香は目を丸くし、それからゲラゲラと声を立てて笑った。

    「そういうのじゃないよ! だってお兄ちゃんだもん。南極にいた時からずーっとね」

    「ならそのうちに挨拶に行かねぇとな」

    立香に合わせて悪ノリする。まんまるとした琥珀の瞳が見上げてきた。

    「うわー! それ楽しそう! カワタさん、絶対びっくりするよ!」

    笑うマスターの肩を抱き先を促す。少女は素直に従って足を進めた。



    隣では括ったオレンジの髪がぴょんぴょんと跳ねる。繋いだ我が手を勢いをつけてぶんぶんと振り、テンションが高い。

    やろうやろう! 菓子折り用意しなきゃ。

    楽しそうに話を進めるマスターに適当に相槌を打つ。

    こうまできたらマスターのことだ。本当にやりかねんぞ。
    かわいそうに、あの男。神と人類最後のマスターを前にどんな顔をするか。

    喉を鳴らすオレを見上げ、立香も頬を緩めた。
    楽しみな理由はオレとコイツとでは異なるが、別に言う必要はあるまい。


    立香は擁護するがヤツはどうにも好かん。
    気安く笑い合うふたりを見て生まれた苛立ちは、震え上がる男の顔を見て笑い飛ばすことにした。





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    Si__Vales_Valeo

    DONEポカぐだ♀ です。
    季節感度外視ですが、ほのぼのいちゃらぶが書きたかったので書きました。
    寒がって震えてるテさんの耳引っ張って「どう?あったかい?」て聞くぐだちゃん見たい。テさんはサーヴァントだから効かねぇだろとか思ってそうだけど、ぐだちゃんの好きにさせてるといいなと思います。
    ポカぐだ♀ / ほのぼのイチャイチャラップランドの森で過ごすクリスマスももうすぐおしまい。トントゥたちやクリスマスマーケットともお別れだ。
    レイシフトの準備が整うまでは好きに過ごしなさいと新所長からお許しが出たので、マシュやロウヒ、アビーたちと食べ歩きしたり、ツリー用のオーナメントを買ったりして残りの時間を過ごしていた。

    きらきらきれいなツリーを眺めて、美味しい屋台を回って。トントゥたちと歌ったり踊ったりして。
    みんなではしゃいで笑い合って、広場で過ごすひとときはまるでひとときの夢のよう。

    すっごい楽しかったから、つい考えてしまったのだ。
    あのひとと一緒に同じ時を過ごせたらいいのにな……って。



    誰って? もちろんあのひとです。
    子供受けがいいからってオセロトルの戦士の装束姿になったり、せっかくのクリスマスなのにやっぱり商売のことばっかり考えてるひと。
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    Si__Vales_Valeo

    DONEポカぐだ♀ です。
    ふたりが食堂でいちゃついてるの眺めるモブになりたいなあ。とくにテスカトリポカさんは周囲の視線とか気にしなさそうだな…と思って書きました。
    あとごはんの一部をハイってあげてるのとかかわいいかな、とか、テさんに対してそんなに恐れず年頃の女の子してたらいいな、とか。そんな感じのお話です。
    ポカぐだ♀ / ほのぼのストーム・ボーダー内の食堂は昼時に一番の活気を見せる。
    生き残ったカルデア職員の人数を知る者ならば、食堂に全員が集まろうとも「活気」は生まれるまいと懐疑的に見るだろう。それほどまでに現在艦内で活動している人間は少ない。
    何故食堂が盛況になるかと言えば、本来食事を摂る必要がないサーヴァントたちもこの食堂を頻繁に利用しているためである。

    もともと料理を愉しむ者もいたにはいたが、多くのサーヴァントたちが人間たちと同じように食事を摂るようになったのは彼らのマスターの影響でもあった。彼らのマスターである藤丸立香が食事をとる際に彼らを日常的に誘うため、自然と習慣化していったのである。
    また見た目で言うと一般的な「施設の食堂」であるその場所で提供される料理がどれも美味で、五つ星レストランも斯くやとばかりのクオリティであることも、みなが食堂を利用する理由の一つであると思われる。
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    Si__Vales_Valeo

    DONE繁中版8周年のイラストかわいかったですねのポカぐだ♀ です。
    fgoやってない友達が教えてくれました。ありがとう。

    ロングドレスで歩くの大変で、「手離さないでね?ぜったいだよ!?」ってわーきゃー言ってるぐだちゃんはかわいいだろうな…そんなこと言われたらテさんもご機嫌になるに違いない。と思って書きました。

    奏章Ⅳ終わりました。。かなしいし寂しいけどよいストーリーだった。H出先生ありがとう。
    ポカぐだ♀ / ほのぼのイチャイチャ / 8周年記念今年も一年がんばったねって労をねぎらいみんなでお祝いするお祭り。ダ・ヴィンチちゃんの発案で場所は遊園地に決まった。

    『遊園地でパーティしようよ! おめかしして、めいっぱい楽しむんだ!』

    にっこりと、弾けんばかりの笑顔で告げるダ・ヴィンチちゃんはすっごいかわいい。
    もちろんシミュレーションルームに投影させるんだけど、遊園地の貸し切りパーティだよ!
    カルデアに来る前だって庶民のわたしにはまったく縁のないことだ。レストランにもアトラクションにも並ばなくてもいいし、人混みで窮屈な思いをすることもないんじゃないかな?
    浮世離れした空間でひとときの夢みたいな一日を過ごすのは、毎日神経も命もすり減らして戦うわたしたちにとっていいリフレッシュになりそうだ。
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    recommended works

    haruna_fpg

    INFO6月30日JUNE BRIDE Fes2024で発行する新刊のサンプルになります。
    テスカトリポカ×ぐだ♀️の社長(人間)×人魚の現パロ本です。以下注意書。
    ●ポカニキが複数の女性と身体だけの関係を持っている
    ●人魚の肉が不老不死では無いという独自設定
    ●モブ女性が出てくる→モブにポカニキが刺される→さらにモブの自タヒした描写がある
    サンプルは最初の方とポカニキが刺た辺りとR18が少しです
    そして人魚は⬛︎⬛︎になったそれは朝から雨が降っていた日であった。無性にコーヒーが飲みたくなったが家にはインスタントコーヒーの予備すらなく、仕方なくテスカトリポカは近所の喫茶店へと向かうことにした。
    雨は嫌いだ。湿度で自慢の金糸はうねるし傘を差すなんて手間がかかる。何よりも少し出かけるだけでも服やら靴やらが濡れるのが鬱陶しくて仕方がない。それに遠くで雷の音までしだした。
    悪天候のせいで道にはほとんど人はおらず、マンションを出てすぐの国道を挟んだ先にある海はまるでこの世の果ての様に黒くうねっている。
    なんて間の悪い。誰かに買ってきてくれと頼もうかと思ったが、運が悪いことに尽く誰も捕まらなかった。最寄りのコンビニより、スーパーより喫茶店の方が近い。とりあえずコーヒーが飲めればそれでいいし、他の誘惑に流されて余計なものを買うので出来れば近づきたくないというのが正解であろうか。
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