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    kukumamasann

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    kukumamasann

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    スパコミで無配にしたegさんとくらげちゃんの話。pixivにも投稿しましたが、一応こっちにも投稿します〜〜😊😊😊スパコミ楽しかった!!!!

    クラゲの君【eg×名前あり女主】 『名は体を表す』というが、それをここまで体現出来るやつがいるのか、とそいつを見て思った。

     またま通りがかった女子サッカーチームで見かけたそいつは、コートを漂うくらげかと思った。色素のうすい水色の髪を揺らしながら、ゆったりと動くのに、触手で刺すように相手の不意を付いて、シュートを決める。それが、『水面くらげ』であった。
     女子サッカーにはあまり興味がなかったはずなのに、気づけば視線はそいつを追っていた。それに気づいてか、彼女も俺を見つけると手を振ってくるようになった。そして、選手同士だからか話をするようになった。ふわっと笑う彼女は、試合の時よりも雰囲気が5割増しで柔らかい。試合以外ではポケっとしたり、転んでみたり、ほけほけしている姿が何だか危うくて、時々そいつの様子を確認するようになった。今までサッカー以外に興味なんて特になく、人も才能があるか無いか、自分の手駒にできるか、そんなことしか考えていなかったはずなのに、自分のそんなかんじょうに正直驚いていた。こんな風に、人を思いやる気持ちが自分にも残っているとは、思ってもみなかった。
     しかし、彼女の世話をして数か月後、彼女が音信不通となった。
     女子サッカーのチームにも、彼女のマンションにも、全く形跡もなく、知り合いもどこに行ったのか知らないらしい。何か、事件にでも巻き込まれたのかと思ったが、女子サッカーチームは自分から辞めているし、マンションの解約も彼女自身で行われていた。
     そして数日後、彼女が引退すると発表した。
     ……まだ、二十歳。まだ数年は活躍していけるであろうに、随分と早い引退。あの才能が、もう試合で見れないのは少し残念な気もする。だが、記者会見中の彼女の瞳に『エゴ』が見えて、野暮な事は言わないことにした。


     ……そして数年後。



    「絵心さん!ブルーロックの職員、一人見つけてきましたよ!」



     アンリちゃんの言葉に視線を動かせば、そこに立っていたのは、見覚えのある、透き通るような水色の髪。
     前よりも大人になった彼女に、俺は目を丸くしていた。



    「彼女の教育係をしている、水面くらげと申します。よろしくお願い致します。」



     大人っぽい落ち着いた雰囲気だと言うのに、昔と変わらないほけっとした笑顔に、少し安心する。あ、こいつ、変わってないな。ただ、他人行儀なのが気に食わなくて、俺は人差し指と親指にグッと力を入れ、彼女の額にデコピンしてやった。



    「っ、あいったぁ!?」

    「そのよそよそしいのやめろ。前と同じでいい。」

    「それもそっか、そーするね。」

    「……え、前と同じ?」



    アンリちゃんが、俺とくらげちゃんの会話を聞いて、驚きのあまり固まってしまった。まさか、知り合いだったなんで思わなかったのだろう。



    「昔こいつを世話してた。」

    「世話されてました。」



     俺達のそんな言葉に、アンリちゃんは口をあんぐりと開けていた。



    「……先輩が絵心さんをお世話してたの間違いですよね?」

    「ところがどっこい、本当の事なんだよね。」

    「私、あの時は本当に今よりも全然しっかりしてなくてね、絵心さんが気を使ってくれてたの。」

    「ぜんっぜん想像つかない……。」



     目を細めてこちらを見るアンリちゃんに、以前のクラゲちゃんを本気で見て欲しい。今は後輩育成ができるくらいしっかりしているかもしれないが、昔はどこかに行こうとすれば転び、バッグを開けば忘れ物に気付き、家への帰り道すらわからなくなる。そんなサッカー少女だったのだ、彼女は。



    「まぁ、とりあえず、ブルーロックプロジェクトはとても気になるので、お仕事頑張りますよ。W杯優勝する日本、見たいですし。」



     そう言って笑った彼女に、俺は思わず言ってしまった。



    「お前が女子サッカーで日本一になればいいだろ?」



     その言葉に、彼女は固まった後、ばつが悪そうに笑っていた。

     ……思えば、それが初めの違和感だったのだ。




     * * * * *

     本格的にブルーロックプロジェクトが始動し、選ばれた高校生たちがブルーロックでの生活を始めた。トレーニングに、試合に、毎日が精神をすり減らすようなものだろう。だが、それを乗り越えて、自分の『エゴ』をむき出しにする選手たち。まだまだだが、この卵たちがどうなるのか、興味はある。
     ふと、画面の端にクラゲちゃんが映る。元サッカー選手で、体力があるはずなのに、荷物を持ちながらフラッとよろけている姿に俺はヒヤッとした。
     ……おかしい。数年前だったら、彼女はあの何倍もあるサッカー用品を軽々と持っていたはず。数年で、ここまで体力がなくなることなんて、あるのか?
     どんどんと違和感は膨らんでいく。
     ある日、U20戦前に選抜したメンバーの特訓をしていると、彼女が俺の隣へと座った。



    「ふふ、皆性が出ますね。きっと勝てるなってきがします。」



     いつも通りにほけほけ笑いながら、高校生たちを眩しそうに見つめる彼女。柔らかいその表情に、胸が何だか温まるような不思議な感覚がする。
    しかし、俺はどうしても木になってしまい、彼女に疑問をぶつけた。



    「……なぁ、お前もサッカー命の人間だろ。何で辞めた。」



     俺のその言葉に、彼女は一瞬目を丸くした後、ゆっくりと口角を緩めた。






    「……私は、余命幾ばくもないくらげなので。」





     ……どうせ、そんな事だろうとは予想がついていた。危なっかしくとも、サッカーが好きで、辞める事なんで想像ができないような彼女。そんな彼女がサッカーを辞めるなんて、よっぽどの理由だとはわかっていたのだ。病気なら先に言っとけとか、本当に治らない病気なのか?とか、頭でいろいろな事がぐるぐると回りだす。はぁぁ、と長いため息をついた後、俺は額に手をやった。



    「お前、その事アンリちゃんに言った?」

    「何のことぉ?」



     けらけらと笑ってごまかした彼女に、チョップの一つでも食らわしてやりたいくらいだ。もう一つため息を付き、一言。




    「……お前、ほんとバカ。」



     ……俺には、そんな言葉しか言えなかった。




    * * * * *

     会場に、観客の叫び声が響く。選手たちも、拳を振り上げながらトロフィーを掲げている。
     これで、ブルーロックプロジェクトで日本をW杯優勝と導く選手が育成できるという事が証明されたわけだ。
     ベンチには、選手たちを笑顔で見つめるくらげちゃんを見つけた。遠目で見ると、彼女の体が前よりも細くなったように見える。しかも、目には隈までこさえている。
    ……随分、華奢になったもんだな。それもそうか、彼女は余命幾ばくもないって自分で言ってたもんな。そんな状態でも、目をキラキラと輝かせて、満面の笑みを浮かべている彼女に、自然と自分も口角が上がっていた。
     喜ぶ彼女を見ていると、彼女がフラッと前にゆっくりと体を傾ける。「倒れる」と思い、俺は急いで彼女の元へと駆け寄り、体を支えた。細くなった腰、浅い呼吸、焦点が合っているのかわからない瞳。彼女の寿命がどれだけ残っているのかを察した瞬間だった。



    「あぶないだろ、ばか」



     そう言いながら、彼女を椅子に座りなおさせる。動作はゆっくりで、それだけでも彼女は息が切れていた。



    「ありがとうございます」



     そんな風に言って、笑って見せたが、表情を作るだけでも、今の彼女にはとても体力を使う事らしい。口角が少し震えているのが見えて、W杯優勝なんて嬉しい時だというのに、苦しくてたまらなかった。
     俺はすとんと彼女の隣に座る。彼女が息を呑み、こちらを見つめるのが見ていなくてもわかった。



    「……、なんで……」

    「……」



     目を丸くしながらそう問いかけてくる彼女。俺は一呼吸おいて、彼女にこう返した。



    「……最期に一人は寂しいだろ。一緒にいてやるよ」



     俺のその言葉に、彼女は目を開いた後、申し訳なさそうに、でも嬉しそうに目を細め、笑っていた。



    「ありがとうございます。ついでに、肩をお借りしても?」

    「……」



     俺が自分の肩をトントンと指で叩く。彼女は一言「ありがとうございます」と言うと、そっと俺の肩に頭を乗せた。そして、また喜ぶ選手たちの方へと視線を移す。柔らかく笑顔を浮かべたその表情に、俺は何とも言えない気持ちになった。
     しばらく二人でW杯を掲げたり、インタビューを受けたりしている選手たちを見ていたが、ずしりと肩が重くなる。そっと視線を移すと、目を閉じている彼女。
     やっぱりか、やっぱり、今日だったか。予想は当たっていた。彼女はW杯を優勝する日本を見たがっていた。多分、それが彼女の生きる活力になっていた。それを特等席(ベンチ)で見た彼女が、どうなるかなんて、想像するに容易かった。
     彼女の体をそっと支えつつ、深いため息を一つつく。



    「ほんとバカだな。お前も、俺も。」



     会場を歓声が包む中、俺はそっと頬を濡らす。嬉しいのに、悲しくて、辛くて、こんな日があるなんて、ブルーロックを始める前の俺は、きっと予想できなかっただろう。肩に乗った彼女の口元から、呼吸音は聞こえない。






    「最後に、『好き』くらい言っとけばよかったよ。」






     そう呟いた言葉は、彼女に届くことはなく、風に乗って消えていった。

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    クラゲの君【eg×名前あり女主】 『名は体を表す』というが、それをここまで体現出来るやつがいるのか、とそいつを見て思った。

     またま通りがかった女子サッカーチームで見かけたそいつは、コートを漂うくらげかと思った。色素のうすい水色の髪を揺らしながら、ゆったりと動くのに、触手で刺すように相手の不意を付いて、シュートを決める。それが、『水面くらげ』であった。
     女子サッカーにはあまり興味がなかったはずなのに、気づけば視線はそいつを追っていた。それに気づいてか、彼女も俺を見つけると手を振ってくるようになった。そして、選手同士だからか話をするようになった。ふわっと笑う彼女は、試合の時よりも雰囲気が5割増しで柔らかい。試合以外ではポケっとしたり、転んでみたり、ほけほけしている姿が何だか危うくて、時々そいつの様子を確認するようになった。今までサッカー以外に興味なんて特になく、人も才能があるか無いか、自分の手駒にできるか、そんなことしか考えていなかったはずなのに、自分のそんなかんじょうに正直驚いていた。こんな風に、人を思いやる気持ちが自分にも残っているとは、思ってもみなかった。
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