【bll夢】 君がいるから、(好き)でいれるのだ。 かわいいものは好きだ。見てるだけで心が潤う。柔らかでミルキーな色を見るだけで、穏やかになれる気がする。
……でも、自分には似合わないのは、わかっていたのだ。
昔から身長が高くて、スポーツをしているからガタイも良くて、そんな私に可愛い物なんて、似合わなかった。昔、お気に入りのフリルの服を着た時、『似合わな』とクラスメイトに言われてから、怖くて足を通せない。可愛いリボンの髪飾りも、もう2度と着けることはないのだろう。少し長めだった髪も、跡形もなく切ってもらった。
サッカー一本の人生を送ろう。可愛い物を眺めるのはいいけど、自分が身に着ける事はやめておこう。
そう思ってたはずなのに。
「ほらこれ、お前に似合いそうじゃん?」
「このリボンお前の髪に映えそうじゃん。結んでやるよ。」
「かわいいよ、お前は。」
そんな風に千切君が褒めるから、調子に乗りそうになる。胸が、きゅっと締め付けられそうなほど、嬉しくなる。君に、帰られていく気がする。
今まで、我慢してきた『可愛いものが好き』という事を、許されたような気がして、嬉しくなる。
「千切君。」
「なんだよ舞咲。」
「……ん、ごめん、何でもない。」
ありがと、なんて一言を言うには、なんだか恥ずかしくて。だから、私は変にごまかしてしまった。
なんだよってむすっとした千切君に頬をつねられる。いひゃいよ千切君……。
でも、今のこんなほんわかした関係が楽しくて仕方ない。あの元気のなかった千切君がこんな風に元気になって、そして、またサッカーをしている姿が、私はたまらなく嬉しいのだ。
「おし、今度の試合、一点取ったらお前、俺の足のマッサージ係な。」
「じゃあ私が先に得点取ったら、千切君も私のお願い一つ聞いてね?」
「おっ、乗った。で、ちなみに舞咲は何をお願いするんだ?」
「……ないしょ。」
『一緒に一日過ごしてほしい』なんてお願い、今言ったら恥ずかしくて試合に集中できなさそうなので、それは一点取ってからのお楽しみである。