焦がれる春にもうすぐ、俺の大好きな人の誕生日を迎える。去年は出会って間もない頃で、そんなに仲が良くなかった。だから今年が初めてだ。けれど、俺が勝己に出来ることなんて、あるのだろうか。
◇◇
庭に咲いている桜を眺めながら、轟は自分の護衛である爆豪勝己について考えていた。現代において護衛が必要とする人物は限られてくる。金持ちか、それとも悪者か。狙われている理由を本人たちも理解しているからこその護衛だ。
轟と爆豪は、主従という関係ではあるが、組織公認で交際をしている。最初はぎこちない二人だったけれど、一年かけてようやく交際が叶ったのだ。
「どうしよう…」
護衛である彼に秘密で買い物、は流石に無理がある。轟は頭を悩ませていた。何を贈れば彼は喜んでくれるだろう。それを考えると、もう辛いものしかでてこない自分の頭が轟は恨めしかった。
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