コノワタある店の前で、ゾロは足を止めた。値段を確認し、財布を見て、考え込む。唸るゾロに気がついた店主が店先に顔を覗かせた。
「それ、気になるのかい?他にも買ってくれんならまとめ買いってことで値引いてやるぜ」
「買いてえんだが、財布と相談してる。まとめ買いする余裕はねえな」
「ははは、そうかい。あんた剣士か……生業は海賊か?それとも賞金稼ぎ?」
「海賊だな」
「なるほどな。頼みを聞いてくれたら、その瓶ひとつやってもいいぜ」
「本当か」
顔を上げ、店主を見る。店主は頷いた後、沖合いの方を指差した。
「あっちの方にな、最近鮫が居着いてるんだ。素潜りが出来なくて困ってる。海の底にはウニだの海老だのタコだのが大量にいるってのに、鮫がよってくるから取れなくて、悲しいことに品薄でね。浅瀬にいる貝やナマコしか取れねえのさ」
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